参加者数30%増!SXSW Japanが実践したコンテンツマーケティング戦略
SXSW Japan(未来予報株式会社)

SXSW Japan代表の宮川麻衣子さん
SXSW Japanでは、コロナ禍で落ち込んだSXSW(※)の日本からの参加者数の回復という課題を抱えていました。そこで、コンテンツマーケティングの戦略立案・実行支援を得意とするクマベイスに相談。コンテンツマーケティング戦略の策定からウェブサイトの刷新、メールマーケティングの強化まで伴走した結果、わずか1年で日本からの参加者数が前年比30%以上増加、オフィシャルツアー枠も完売に至りました。本記事では、具体的な取り組みの全貌と、現場が実感した成果や学びをお届けします。
(※)音楽・映画・テクノロジーが融合する世界最大級のクリエイティブイベント。毎年米国テキサス州オースティンで開かれている。読みは「サウス・バイ・サウスウエスト」
【課題】
- コロナ禍で日本からのSXSW参加者数が大幅減少
- 効果的な情報発信の手段が不足
- 集客・認知の導線の未整備
【解決】
- クマベイスの伴走支援により、ゼロからコンテンツマーケティング戦略を策定
- ニュースレターやブログ記事などの企画・発信を強化
- ウェブサイトをリニューアルし、参加希望者向けの情報集約を実現
- メールマーケティングの戦略立案・実行を推進
【成果(具体的数字)】
- 日本からのSXSW参加者数が 前年比600人 → 約800人 に増加(約33%増)
- オフィシャルツアー枠(近畿日本ツーリスト株式会社手配)が 開催年(2025年)の前年中(2024年中)に完売
- メールニュースレターの登録数が順調に増加、開封率は約50%
- コンテンツマーケティング基盤の整備により、今後の年間成長が期待される仕組みを構築
クマベイスとの出会いと相談のきっかけ
――まず、クマベイスにご相談いただいた経緯について教えてください。
SXSW Japan代表の宮川麻衣子さん(以下、宮川さん):SXSW2024の後、クマベイスの田中さん(=田中森士)が書かれたレポート記事を読んだことがきっかけでした。どんな展示やセッションがあったかというレポートが一般的だと思いますが、田中さんの記事はSXSWの精神性にも深く切り込んで書かれていた。その時、「初参加なのにすごくSXSWのことを理解している」と驚いたんです。それでSXSWの報告会イベントにぜひご登壇いただきたいと思い、連絡させていただきました。

SXSW2024開催で盛り上がるテキサス州オースティン市街地
私たちが当時取り組んでいたのが、コロナ禍で落ち込んだ日本からの参加者数を増加させること。報告会後にクマベイスの皆さんとお会いする機会があったので、私と弊社の高橋(=リサーチャーの高橋功樹さん)が直接相談させていただいたところ、コンテンツマーケティングが課題解決に貢献するだろうというアドバイスをくださり、とても興味を持ちました。その後、熟慮の上で正式にコンサルティングサービスを申し込んだという流れです。
当初のマーケティング課題と気づき
――クマベイスにご相談いただく前は、マーケティング予算をウェブ広告中心に使っていたと伺いました。
宮川さん:広告の他に、情報発信も自分なりに頑張ってはいました。でも、戦略的に取り組んでいたわけではないので、なかなか結果につながらなかった。そもそも、私たちが発信する情報を集約する場所がなかったことが大きかったと思います。SXSWのことを知ってくださった方が、SXSWの参加方法などを調べる手段がほとんどなかったわけですから。

SXSWの会場で購入したというポスターを前にインタビューに答える宮川さん
日本語サイトリニューアルの舞台裏
――今回はSXSW Japanのウェブサイトもリニューアルしました。
宮川さん:当初、SXSWの日本語サイトは、ランディングページ的なものしかありませんでした。伴走支援に際し、クマベイスさんに複数回の戦略立案ワークショップを実施していただきましたが、その中で情報を集約した場所が必要だと気づいた。とはいえ、限られた時間と予算の中で、ウェブサイトのリニューアルは難しいと考えていたので、半ば諦めていました。
ところが、クマベイスさんが実現可能なロードマップを提示してくださり、また比較的費用を抑えて制作する方法も教えてくださった。さらには必要な作業の洗い出しまでサポートしていただいたおかげで、驚異的なスピードで公開にこぎ着けました。

リニューアルしたSXSW Japanのウェブサイト
――我々のアドバイスにしっかり応えてくださったからこそ、実現したのだと思います
宮川:実は、スケジュール管理は私の苦手な部分なんです。ところがクマベイスさんはSlackでこまめにリマインドをくださり、またMTGのアジェンダもしっかり作ってくださる。リマインドとアジェンダのおかげで「あと1週間しかない!タスクをこなさなきゃ!」と取り組めたんです。だからこそ無駄な時間を過ごさずに済みました。本当にありがたかったです。
自走型の体制づくりと仕組みの価値
――我々としては、最終的にはお客様に自走していただける状態を目指しています。
宮川さん:それが実現しています。半年や1年という短い期間で自走できる状態まで持っていくという考え方が、本当に素晴らしいと思います。
――確かに、いかに長く契約するかを考えるのが、コンサルティング会社を経営する上で大事だったりしますからね(笑)。土台をつくった後はお客様に自走していただく。または、よりライトな関わり方へとシフトする。こうしたことを心がけています。
というのも、コンテンツマーケティングはストック性が高いので、やってきたことが積み重なっていきます。2年目にはもっとSXSWに関心を持つ人が増えていくでしょう。毎年少しずつ積み上げていくイメージですね。コンテンツマーケティングは長期戦だからこそ、最終的には自走できる状態にもっていく必要があるわけです。
宮川さん:その仕組みがとても良かったです。あと、戦略を実行に移す段階で、クマベイスの編集者さんにコンテンツをリアルタイムで添削していただいたのがすごく大きかった。解説しながら添削していただいたおかげで、「こう書けばいいんだ」というのを体得できました。

インタビュアーはクマベイス代表の田中森士が務めた
――それは最初に絶対やらなきゃいけないことです。間違ったコンテンツを増やしても意味がないので。最初が肝心なんですよ。一度やり方を習得してしまえば、もうあとは我々が何もしなくても大丈夫です。
宮川さん:自走する上では、自分で「これをやったらこんな効果が得られる」という報酬を作れるようになったことが大きいと思います。報酬のおかげで、今では「イベントをやったらブログを必ず書こう」と決めて、コンテンツを継続してアップできるようになりました。
成果を生む「報酬」の仕組み
――「報酬」についてもう少し詳しく教えていただけますか?
宮川さん:例えば、ウェブサイトの数字が上がっているとか、SXSWの参加申し込みをいただくとか、ニュースレターの反響とか。特にクマベイスさんにメールマーケティングを支援いただいて始めたニュースレターは、読者の方から「毎週読んでいます」と声をかけてもらえることが多い。ニュースレター内でいくつかの連載を書いていますが、SXSWのお知らせ部分よりも、私の回顧録「タコスとSXSWと私」のような個人的な話がよく読まれています。ニュースレター企画のワークショップでは、「需要あるのかなあ」と半信半疑でしたが(笑)。

SXSW Japanの公式ニュースレター
――我々は「タコスとSXSWと私」がキラーコンテンツになると予想していました。
宮川さん:当初からおっしゃっていましたよね。「『タコス』の連載を読んで、自分も行くことを決めました」とか、「あの記事に背中を押されました」とか、そういう声をもらえるんです。コンテンツそのものをちゃんと読んでくれている。そう私自身が実感できることが、一番の報酬ですね。しかも、始めてわずか数カ月でそういう声が届くようになった。
短期間で成果を出せた理由
――メールマーケティングは成果につながるまで時間がかかる。1年半〜2年くらいかかるというのが我々の実感です。短期間で成果につながったのは、もともとSXSWや未来予報さんのファンがいて、基盤があったからこそだと思います。あと少し、つまりあとはコンテンツマーケティングやメールマーケティングに取り組むだけという状態にあったわけです。
宮川さん:そのノウハウが本当に分かりやすく、しかも実行可能な形にしてもらえたのが大きかったです。理想はあっても、できないことの方が多い中で、合宿形式のワークショップでToDoリストに落とし込んでもらえたので、「これならできる」という感覚が持てました。
あと、私の場合は「行動が変わった」という実感があります。それまで、なんとなくSXSWの説明会を開催したり、なんとなくコンテンツを作っていたりしただけでしたが、今はコンテンツマーケティング戦略が頭に入っているので、目的意識がはっきりしています。また、「これもコンテンツになる」「こういう情報を出すと響く」と、企画のツボがわかってきました。

「実行可能な形にしてもらえたのが大きかった」と笑顔で語る宮川さん
――今「響く」とおっしゃいました。それは届ける相手の顔がイメージできているということですね。
宮川さん:はい、「誰に届けるか」がはっきりしてからは、文章の質も高まったと感じます。以前は何のために、誰のために届けているのか全くイメージできていませんでした。ただイベントをやって、ただコンテンツを作っていただけ。
今は「こういうのが好きだろうな」と思いながら書いています。ニュースレターの読者さんやブログの内容も、「こういう人が読むだろうな」と想像できるようになっています。戦略立案ワークショップで設定したペルソナが、今しっかり育ってきていると感じます。
数字で見る具体的成果
――具体的な成果について教えてください。
宮川さん:2024年は600人ほどだった日本からの参加者は、2025年は約800人にまで増えました。日本からの参加者が30%以上増えたということです。
私たちは近畿日本ツーリスト株式会社さんとオフィシャルツアーを企画しているんですが、コンテンツマーケティングが機能するようになって、2025年のオフィシャルツアー枠は2024年のうちに完売しました。ホテルの部屋を100室確保していただいたのですが、それがあっという間に埋まったんです。来年はもっと多くの部屋を準備しなければならないと考えています。

近畿日本ツーリスト株式会社によるオフィシャルツアーのウェブページ
――もともと初年度は仕組みを構築するところまでで、数字につながるのは次年度以降だと考えていました。ところが1年目で30%以上伸びた。これほど早く結果が出ることは極めて珍しいと思います。
宮川さん:アナリティクスを見ていても、戦略立案ワークショップで作成したカスタマージャーニー通りの流れができています。また、今回はコンテンツマーケティングに加えメールマーケティングの戦略立案、支援もクマベイスさんにお願いしました。登録数は順調に伸びて、また開封率も、正確に計測できないiOSユーザーを除いた集計で、約50%です。
また、生成AIに「SXSWとは?」などと質問を検索すると、SXSW Japan公式サイトの情報をもとに回答を生成してくれるようになりました。「SXSW Japan代表の宮川氏がこのように語っている」とまで書いてくれるんです。「やっておいてよかったな」と思いました。まあ、私たちはクマベイスの皆さんがおっしゃった通りに動いただけなんですけど。
――それがすごいんです。戦略を立案しても、実行がうまくいかないケースは多い。
宮川さん:距離感もちょうど良かったと思います。適度な緊張感が、私としてはちょうどよかったです。

SXSW2024の様子
サービスの感想と今後の期待
――まとめとして、今回のサービスについてのご感想をお願いします。
宮川さん:客観的かつ示唆的な視点を外部からもらうことは、とても大事だと思います。忙しいと物事を近視眼的に見てしまいがちですが、戦略立案ワークショップの合宿をしてから、「3年間頑張ろう」と長期視点で物事を考えられるようになりました。
それは「結果につながるまで18カ月かかります」と最初に言っていただき、「それでも取り組む価値がある」と納得できたからです。伴走支援していただいたことで、課題が明確になり、その課題としっかり向き合えば必ず結果が出ることがわかりました。業種の相性はあるかと思いますが、多くの企業さんにコンテンツマーケティングの支援サービスを受けていただきたいですね。
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