東京都武蔵野市の商業施設「アトレ吉祥寺」で9月22日に開かれた、「Do you know 熊本?トークセッションDay2」では、「これから必要な被災地支援」をテーマに、熊本地震の被災地に東京からどのような支援ができるのかを議論した。
スピーカーとして登壇したのは、NPOカタリバの今村亮さん、一般社団法人日本お米協会の森賢太さん、Youth action for Kumamotoの塚田耀太さんの3人。それぞれ教育、農業、生活の各分野で支援を続けているキーマンだ。
熊本県益城町で中学生への学習支援に携わる今村さんは、「子供たちは地震で大きなストレスを受けている。勉強が地震前より苦手になった子も出ている」と、学習現場の現状について指摘。その上で、「益城町はようやく皆が罹災証明を手に入れたという段階。これから仮設住宅に入るなどし、生活を立て直していくことになる」とし、子供たちの生活がまだ完全には整っていないと訴えた。
NPOカタリバの今村亮さん
被災した田んぼの再生などにあたっている森さんは、家が全壊したものの、避難所から田畑へ通うのが大変という理由で、今もビニールハウスで生活している農家がいると説明。農家らが深刻な被害を受けている実情を訴えた。
一般社団法人日本お米協会の森賢太さん
避難所の位置などの情報が一目でわかる地図の作成に携わった塚田さんは、7月に初めて熊本を訪れた。その時のことについて「屋根にブルーシートがかかっている家屋が今も多数あったことに驚いた」と感想を述べた上で、熊本地震の発災直後は寝る間を惜しんでマッピング作業を続けていたことを紹介。地震直後の膨大な情報をフィルタリングして発信することの重要性を指摘した。
Youth action for Kumamotoの塚田耀太さん
では、東京にいながらにしてどのような支援ができるのか。
登壇者から出た「支援団体への募金でもいいし、熊本県産品を購入するのでもいい。小さなことでもいいので、支援を続けることで防災への意識が高まる」との指摘は、非常に的を得ていると感じた。
避難所や仮設住宅で、被災者のニーズを汲み取ることができず困っているという話を聞いた。県民性かもしれないが、熊本の人は他人に助けを求めたがらない。結果、最前線で活動している人たちですら支援のあり方を模索し続けている。私個人としては、「熊本に関心を寄せる」ことが県外からできる支援であると考えている。その手法として、どんなに小さなものでもよいので、何かしらの支援をすれば、熊本に関心を寄せ続けることにつながるし、その人の防災意識も高まるはずだ。
トークセッションの中で森さんは、「ご近所さんや地元の農家さんと、東京の皆さんも普段から交流しておくべき。それが発災時のセーフティーネットになる」と強調した。被災地に何かしらの支援をして、かつ自分の地元の人たちとのつながりを深める。このことが、最も有効な防災・減災手法だと強く感じる。