いまや対話型の人工知能(AI)にコンテンツ制作の指示を出せば、瞬時に文章を生成してくれる時代となりました。コンテンツ制作において、指示がすぐさま形になるのは素晴らしいことのように思えます。長年コンテンツ制作のお手伝いをしてきたクマベイスコンテンツ制作チームは、早速AIツールの活用の可能性について研究を進めました。すると、有用な場面がある一方で、中止すべき点も多々あることが見えてきました。今回は、コンテンツ制作の各ステップにおける、AIツールの有用性について考察します。

AIツールによるコンテンツ制作の特徴

AIは、正しく使えば生活をより良くするものだと考えています。しかし、記事コンテンツを作る際、ライターがAIツールを活用してライティングした場合、以下のデメリットが生じます。

・既存コンテンツや既存資料の情報がベースになる

・既存の情報から傾向をつかんである種「捏造」したコンテンツが生まれるリスクがある

・元ネタをたどることが難しくファクトチェックに時間がかかる

・キーワードが詰め込まれているだけで、中身がないコンテンツである場合が多い

・同じAIツールに同じタイトルでリクエストすると、参照元が似通ってしまい、結果似たコンテンツとなる可能性が高い

これらをまとめ厳しく評価すると、「寄せ集め」または「捏造情報を含むコンテンツ」が生成されることもあり、ペルソナにとって価値あるコンテンツが作れるのか疑問が残ります。

しかし、これまで人の手で制作していた「大量生産型のSEOコンテンツ」も、よくよく考えるとAI生成コンテンツと同じようなデメリットがあります。費用がかからない分、AI生成コンテンツの方がまだ勝っているかもしれません。優秀なライターであれば、AIツールを使いこなして高品質なコンテンツを制作することができることもここで強調しておきたいと思います。

マーケティング、コンテンツ制作以外にも、日々テクノロジーは進化しています。テクノロジーを否定するのではなく、新しい技術や知識をどんどん取り入れて仕事の質を高めていくことが必要です。新聞記者がタイピングでなく鉛筆で記事を書いていた時代に、音声入力で文字を書く未来が想像できたでしょうか。

AIツールをビジネスで、コンテンツ制作の道具として使う場面がまだ多くないかもしれません。デメリットにばかり目が行きがちですが、正しく使えばきっとコンテンツ制作の助けになるはずです。

コンテンツ制作の流れの中でAIを利用できる場面

ここからは、コンテンツマーケティングで一般的に行われるコンテンツ制作の流れに沿って、AIツールを使うことを考えてみましょう。

「戦略立案」ではヒントを得る程度に

AIツール使用によるデメリットやリスクがある一方、コンテンツ制作ステップごとに正しく使用することで、業務の助けとなります。

コンテンツ制作の第一段階は、戦略設計です。会社のミッションやパーパス、メディアの目的、ゴール、ペルソナ、カスタマージャーニーマップと設計していきます。

この工程はAIツールに依存すべきでありません。ミッションやゴール、メディアの目的は自分たちの中にあるものです。世の中から情報を寄せ集めて作るものではありませんよね。もちろん、世の中にそういったニーズがあるのか、また設定したペルソナに該当する人がどのくらいいるのかといった調査は必要です。しかし、自分たちがなにをすべきなのかをAIに求めるのはお門違いです。

カスタマージャーニーマップを作成した後、コンテンツを企画していきます。関係する業界や分野の上位コンテンツなどから、よくあるコンテンツのタイトルを導き出すことはAIツールにとって簡単なこと。

たとえば、「○○のメリット/デメリット」についてのコンテンツを、カスタマージャーニーマップの「比較検討」段階に配置したいと考えるときに、AIツールに聞けば、それらしきコンテンツのタイトルをたくさん教えてくれます。しかし、このマップを見て実際にコンテンツを企画する際はこのタイトルをそのまま使用するのは控え、オリジナルな要素を追加したり、チューニングしたりしてください。

「企画・構成」作成の場面では見出しタイトルを提案してもらえる

次の段階では、コンテンツの具体的な構成を考えていきます。AIコンテンツを使うなら、見出しタイトルを決める場面です。

AIツールはすでにインターネット上にあるコンテンツのタイトルや見出しを、それらしくまとめて提案してくれます。関連するキーワードやPV数、コンテンツ数の多いタイトルや見出しを数多く提案してくれるでしょう。

しかしながら繰り返しになりますが、そのまま構成書内に配置していくことは避けてください。AIツールにペルソナの特徴を入れてオーダーしたとしても、ペルソナの気持ちになっての見直し作業は必須です。

提案された見出しをそのまま採用しても、ペルソナには刺さらない可能性があります。固すぎる、もしくはフランクすぎるといった理由などで、違和感を与えるでしょう。

データの海から当てはまる見出しタイトルを集めてくるだけでなく、オーダーすれば新しく作ってくれるかもしれません。しかし、その日本語は本当に正しいのでしょうか。

いずれにしても、AIツールから出力された文字列をそのまま配置することは避け、最後はやはり人による評価と判断が必要になります。0.25→0.5くらいの作業をAIツールに助けてもらい、それを0.5→1にする作業は人の手と脳を頼りにするのが最適解といえるでしょう。

コンテンツの構成を考える場面では、キーワードツールや検索による情報収集が欠かせません。AIツールはそういった場面で便利なことも多々あります。頼る場面や使い方を間違えなければ、私たちの強力な右腕となってくれるのです。

「執筆」では積極的に利用できない

実際にコンテンツを制作していく場面で、AIツールは相棒となりえるのでしょうか。結論から申し上げますと、こちらも企画段階と同様、ヒントを得る段階までにとどめておいた方がよいでしょう。

一般的なコラム形式のコンテンツを作るとします。タイトル、見出しも決まり、本文を執筆していく段階で、見出し(タイトル)をAIツールに教えて本文を書き出してもらうと、ネットの海からかき集めた情報をとても「それらしく」長文にして出力してくれます。

私も時間をかけて何度も試してみたのですが、以下のような検証結果となりました。

・自然な日本語が使えていないことがある

普段使わないような四字熟語で始まったり、やや不自然な言い回しであったりと、そのままの状態ではペルソナには合わないケースが散見されました。

・筋の通らない文章になることがある

関連するキーワードをふんだんに盛り込んでおり、一見すると普通の文章に見えます。しかし入念に一文を読んでみると、意味がよく分からないということが何度もありました。複数のコンテンツから関連する部分を寄せ集めて、足したり引いたりして文章にしているのだなあと一目瞭然です。

・まったく同じ文章を何度も使用する

異なる小見出しなのに、似通った文章や内容の本文となるケースが多々ありました。これでは内容を重複だと感じさせるだけでなく、AIツールによるものだとばればれです。

他にも、同じレベルの項目を説明する見出しでも、情報の量にかなりばらつきがあったり(Aについては3行しか説明していないのに、Bについては20行も説明していた)、一般的には使われていない意味の説明がなされていたりと、精度についてはかなり疑ったほうがよいと感じました。

AIツールが寄せ集めてきた情報の出所はわかりません。AIツールが出力してきた内容をそのまま使うのではなく、人の手でその情報について再度調査を入れる必要があります。このコンテンツを制作するフェーズでも、やはり人の手を入れることは必須なのです。

「校正」添削作業も完全には任せられない

次は制作したコンテンツ(この場合は原稿)の添削や校正作業に使えるか考えてみます。

こちらも先に結論から申し上げると、このフェーズではAIツールは使えません。実際に毎週書いている私のクマベイスメルマガの生原稿をAIツールに入力し、「わかりやすく正しい日本語」に修正してくださいとお願いしてみました。

結果は残念なもので、書いた文章の真逆の意味になるよう書き直されたり、はっきりと結論を述べている文は結局どちらが正解なのかわからないようにぼかされたりしました。

一方、漢字で書くべきところが平仮名になっている場合、漢字に直してくれたり、「さける」「避ける」がばらばらになっていた部分は「避ける」に統一してくれたりと、一部正しく修正してくれたものもありました。

しかし、総合的に見ると細かい言い回しや漢字・平仮名などの表記ゆれを修正してくれるメリットよりも、文章の意味が変わってしまうデメリットが目立ち、この添削や校正のフェーズでの利用はおすすめしません。AIツールに見てもらったあとの人の手による確認作業が増えてしまうのは間違いないでしょう。

一部利用可能も、人の手による確認が必須

コンテンツ制作にAIツールを利用できるかについて考えてきました。検証の結果、コンテンツ企画段階でのアイデア出しの場面でヒントを得るためには利用できますが、企画~完成の全てをAIツールに作業を任せることは現時点できないとの結論に至りました。

世の中にはすでにコンテンツが溢れており、ペルソナやターゲットに制作したコンテンツを届け、さらにファンとなってもらうには、すでにあるものの寄せ集めを提供するだけでは不十分です。情報を欲しているペルソナやターゲットに「自分のことをわかってくれている」「頼りになりそうだ」と思ってもらうには、ペルソナやターゲットに寄り添った上で、相手のマインドも意識しながら、コンテンツを設計、制作していくことが大切です。

AIツールにペルソナやターゲットの情報を提供することにより、ある程度の品質のコンテンツを生成することはできるでしょう。精度の高いツールかもしれませんが、果たしてそれで人間の感情や変化についていけるのでしょうか。コンテンツを発信する前に踏みとどまって、考えてほしいと思います。

ひと手間をスキップして信頼を落としてしまうのはあっという間です。また、コンテンツを受け取る側もリテラシーが上がっています。経験者や勘の鋭い人には見抜かれてしまうでしょう。効率化の時代ですが、コンテンツ制作には「手間」が必要なのです。