今年も始まったContent Marketing World(CMWorld)。先ほどキーノートが終わったので、印象に残った部分を共有したい。

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オーディエンスを驚かせろ

今年のテーマはAMAZE YOUR AUDIENCE。(メディアとしての)あなたのオーディエンスをど驚かせろ、という趣旨のようだ。戦略を立てることは当然として、オーディエンスと向き合ったコンテンツ制作を、というメッセージにも聞こえる。

関連して、CMWorld2019のアジェンダで、「Storytelling」と検索すると、37件ヒットした。「Storytelling」のタグが37ものセッションに設定されていることになる。やはりエンゲージメントを高める、関係を深めるコンテンツ制作に課題感を抱いているマーケターが多いということだろう。

得意な施策にフォーカスすべき

キーノートでは、Content Marketing Instituteを引退したJoe Pulizziが、「MKTG2030」(2030年のマーケティング)と題しプレゼン。2030年のマーケティング業界を取り巻く環境を予測した上で、マーケターはどのように今から準備しておけばよいのかを提案した。決して綺麗ごとではなく、コンテンツマーケティングを成功させるためにどうすべきか、という点について丁寧に解説したことが印象的だった。

Joeは、ブログやSNSやポッドキャストなどさまざまな施策にエネルギーを注いでも、「Great Line」には到達しないと指摘。その上で、得意な施策2つ程度にフォーカスすべきとの見方を示した。また、コンテンツマーケティングの設計時点で、複数の収益に直結する道筋をそれぞれはっきりさせておくべき、との主張は、現場の「上からコンテンツマーケティングをやめろとの声がかかった」との悲痛な叫びがJoeのもとにも届いているのではないかと想像させる。

以前から複数のキャッシュポイントを設けるべきと叫んでいたJoeではあるが、キーノートでこうした主張をもってきたことは「コンテンツマーケティングが絵に描いた餅に終わるのではないか」との危機感からきているのではないか。もちろん、正しいベクトルで取り組めば決してそんなことはないのだが、本当に上手くいっているケースは米国でも実は少ない。ましてや日本ならなおさらだ。Joeの訴えは、手段と目的が入れ替わりがちなマーケティング業界への警鐘にも聞こえる。

SNSの終わりに備えよ

「SNSの終わりに備えよ」。ドキッとするメッセージだが、JoeはSNSの終わりが近いと予見する。それにそなえ、Eメールによるコミュニケーションを強化すべきとの指摘は、日本では注目されていないだけに新鮮に映った。

ちなみにクマベイスではメルマガが顧客獲得に大きく貢献しており、個人的にこの主張には同意である。ただ、日本ではほぼほったらかしの分野だ。

コンテンツマーケティング業界の今年のトレンドは、Eメールマーケとストーリーテリングであると、個人的には確信した。まだCMWorldははじまったばかり。日本のマーケティング業界とクライアントに還元できるよう、引き続きしっかりと学びたい。
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