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「コンテンツマーケティングは成果につながる手法だ」。こうした意見をSNS上で目にします。確かに効果的な手法ではありますが、正しいやり方で取り組まなければ、結果にはつながりません。ここでは、コンテンツマーケティングを成功させるためのチェックポイントについて解説します。

コンテンツを通して達成したい最終目標を明確にできているか

コンテンツマーケティングに限らず、マーケティング戦略は最終的なゴールをはっきりさせなければ、進むべき方向性が見えてきません。コンテンツを配信する際は、「最終的に何をゴールとするのか」をはっきりさせておきましょう。

最終目標を具体的に示した指標のことを「KGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指数)」といいます。ここで大切なのは「具体的な数値目標」ということです。

以前、カスタマージャーニーマップについて解説した記事で、ドラム式洗濯機を例に出しました。例えばこの場合は、「ドラム式洗濯機を売る」といった漠然とした目標ではなく、「ドラム式洗濯機を月間10台売る」というように、できるだけ具体的な数値を挙げて設定する必要があります。

目に見える中間目標を立てられているか、振り返りができるか

最終目標を明確にしても、それだけでは適切なコンテンツの運用はできません。最終的に目標を達成するために、中間目標をいくつか作り、地道に達成していかなければならないのです。

この中間目標のことを「KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)」といいます。こちらもKGIと同様、具体的な数値で表さなければなりません。

ここで、以前の記事でご紹介したカスタマージャーマップを見てみましょう(用意するコンテンツについて一部変更)。

認知 情報収集 比較検討 購入
状況 縦型洗濯機が壊れて新しいものが欲しい ドラム式洗濯機を検討 メーカーをある程度しぼった ドラム式のメリット、デメリット、機能も理解した上で購入機器も決定
心理 ドラム式洗濯機の購入を考えているが、よく分からない 選ぶ基準はどうすればいい? どのメーカーにしょうか悩んでいる 本当にこの商品でいいか?もし壊れてしまった時の保証は?
知りたがっていること ドラム式のメリット、デメリット 選ぶ基準 メーカーごとの機能の違い 実際に動いている様子、保証内容
行動 ネット検索、友人に聞く ネット検索 各メーカーのホームページやカタログを見る 動いている様子を動画で見る、保証内容を確認する
コンテンツ 縦型洗濯機とドラム式洗濯機の比較記事 具体的な機能と選ぶ基準を伝えるホワイトペーパー 実際に自社のドラム式洗濯機を使用している人のインタビュー記事 動いている様子の動画、保証についてホームページ上で説明

(※スマートフォンで閲覧される場合、端末を横向きにすると表が見やすくなります)

このカスタマージャーニーマップ内に、顧客の「認知」「情報収集」「比較検討」「購入」のそれぞれの段階でコンテンツのKPIを設定します。

例えば、認知段階のコンテンツ「縦型洗濯機とドラム式洗濯機の比較記事」で、「『縦型洗濯機 ドラム式洗濯機』の検索順位」、比較検討段階のコンテンツ「具体的な機能と選ぶ基準を伝えるホワイトペーパー」で、「ホワイトペーパーダウンロード数」などと設定します。各KPIを落とし込んだカスタマージャーにマップは以下のようになります。

認知 情報収集 比較検討 購入
状況 縦型洗濯機が壊れて新しいものが欲しい ドラム式洗濯機を検討 メーカーをある程度しぼった ドラム式のメリット、デメリット、機能も理解した上で購入機器も決定
心理 ドラム式洗濯機の購入を考えているが、よく分からない 選ぶ基準はどうすればいい? どのメーカーにしょうか悩んでいる 本当にこの商品でいいか?もし壊れてしまった時の保証は?
知りたがっていること ドラム式のメリット、デメリット 選ぶ基準 メーカーごとの機能の違い 実際に動いている様子、保証内容
行動 ネット検索、友人に聞く ネット検索 各メーカーのホームページやカタログを見る 動いている様子を動画で見る、保証内容を確認する
コンテンツ 縦型洗濯機とドラム式洗濯機の比較記事 具体的な機能と選ぶ基準を伝えるホワイトペーパー 実際に自社のドラム式洗濯機を使用している人のインタビュー記事 動いている様子の動画、保証についてホームページ上で説明
KPI 『縦型洗濯機 ドラム式洗濯機』の検索結果順位 ホワイトペーパーダウンロード数 記事ページの「カタログ請求」クリック数 動画ページの「お問い合わせ」クリック数

(※スマートフォンで閲覧される場合、端末を横向きにすると表が見やすくなります)

KPIもKGI同様、具体的な数値で表さなければなりません。なぜなら戦略が正しかったのか、戦術が正しく実行できているのかといった振り返りを容易にするためです。KPIに設定した指標を見ることで、正しい方向に進んでいるのか、はたまた戦略やコンテンツに修正が必要なのか、分析が可能となります。ただコンテンツを作るのではなく、結果を振り返り、次の施策に生かすことがコンテンツマーケティングにおいて何よりも重要なのです。

「PDCAサイクル」という言葉をお聞きになったことのある人もいらっしゃるのではないでしょうか。PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」のことです。コンテンツマーケティングの実行にも、PDCAサイクルを回してくことが必要だということです。

コンテンツに独自性はあるか

インターネット上には、様々な情報があふれています。インターネットだけでなく、外を歩けば看板や広告の嵐。テレビは毎日コマーシャルを流しています。大量の情報に多くの人が「情報疲れ」を感じています。そんななかで情報の受け手が喜ぶ、独自性のあるコンテンツとはどういったものでしょうか。

「独自性」と聞くと、何か奇抜なものを想像してしまいがち。しかし、答えはシンプルなものです。それは、業界での「1番」を目指すことです。すなわち、「業界の1番の専門家として振る舞う」ことが独自のコンテンツを生み出すカギとなります。

ここで意識しておきたいのが「ペルソナ」です。ペルソナの視点に立って、知りたがっていることは何か探ります。「これは誰も知らないニッチな情報だ」と思ってコンテンツを作っても、ペルソナが求めていない情報であれば見向きもされません。ペルソナからすれば、置いて行かれているような感覚になるでしょう。

また、ニッチな情報になればなるほど、専門用語が増えてきがちです。どうしても伝えたい用語ならば仕方がありませんが、できるだけ誰にでも分かる言葉や例えを挙げましょう。

また、ニッチな情報を伝える以外にも独自性を生み出す方法はあります。それは、作り手の経験や体験談をコンテンツに入れ込むことです。コンテンツを通して受け手に追体験させるコンテンツは、それだけで価値があるといえます。

ペルソナについては、ボリュームについても確認してください。美しいペルソナができたとしても、世の中にその層が少なすぎれば、商売は成り立ちません。ペルソナ設定と市場分析はセットで行うべきなのです。

定期的に発信できるか

総務省の「令和元年版 情報通信白書」によると、メディアの信用度の高さは、1位が新聞、テレビが2位でした。年代によって順位の入れ替わりもありますが、トップ2は基本的にこの2媒体です。

インターネットが発達したのにも関わらず、この2媒体がトップでいる理由は何でしょうか。もちろん、情報のプロとしてコンテンツ(記事や番組)を配信していることもありますが、「毎日継続してコンテンツを配信し続けていること」も大きな理由の1つではないかと思います。

どんな企業でもメディア企業のように振る舞う。コンテンツマーケティングの原点はここにあります。新聞やテレビのように毎日コンテンツを配信するのは難しいにしても、継続的に決まった間隔でコンテンツを配信することが重要です。どんなに優れたコンテンツを配信しても、次のコンテンツは1カ月後に配信、となると受け手は離れてしまいます。

前述の通り、人は毎日膨大な情報に触れているため、自社の存在が忘れられてしまいます。1週間に1度は何かしらのコンテンツを配信するのが望ましいでしょう。とはいえ、あまりに無理にスケジュールを詰め込みすぎて、コンテンツの質が落ちてしまうのは避けたいところ。無理のない範囲で配信し続けましょう。

コンテンツの配信日をカレンダーで管理すると、政策担当者の間で共有できるため便利です。製作開始日、締切日も盛り込みながら、コンテンツ制作の進捗状況を確認しましょう。

コンテンツマーケティングは「マラソン」

コンテンツマーケティングは長期的な視点が大切です。徐々に企業へのファン化を進めるといった性質上、効果が出るのに時間がかかってしまします。従来型の即効性のある広告を「短距離走」とするのならば、コンテンツマーケティングは「マラソン」といえるでしょう。

マラソンだからこそ、継続的な配信が必要です。継続するからこそ、受け手を飽きさせないために独自性が必要となってきます。これからコンテンツマーケティングを始めようと考えている企業担当者は、「チェックポイントをクリアできるか」十分に考えたうえで取り組むことが大切です。