「コンテンツマーケティング」という言葉がもはや一般化した昨今。しかしながら、正しく活用できている例は、特に地方において、まだまだ少ないのが現状です。実は、このコンテンツマーケティングの考え方(「コンテンツマーケティング的思考」と名付けることとします)は、Web戦略だけでなく、営業や紙媒体、CMなど、あらゆる場面で使えます。特に、営業においては、従業員のストレス軽減や成績アップも期待できるのです。

コンテンツマーケティングの基本的考え方

クマベイスには日ごろ、「ホームページを作ったものの反応が薄い」「紙媒体に広告を出しているが効果が出ない」などの相談が寄せられます。ホームページを作って、SNSや紙媒体なども活用し、情報発信している。なのに結果が出ていないのです。実は、仕事のために情報発信をしている方のほとんどが、「相手が欲する情報」ではなく「自分が発信したい情報」もしくは「ネタがなくなって苦し紛れに考えた文章」を発信しています。つまり、単なる「日記」となってしまっているのです。

我々がセミナーなどで常々訴えているのが、相手の有益となる情報を発信することの重要性です。宣伝文句だけで物が売れる時代はもう終わりました。具体的なターゲットの人物像(ペルソナ)を設定し、そのペルソナが(潜在的に)欲する情報を継続して発信し続ける。そうすることで信頼関係が構築され、あなたの業界の商品やサービスが必要となった時、または欲しくなった時、優先順位の第一位があなたの会社となるのです。

このように、消費者や潜在消費者にとって有益なコンテンツを継続して提供し続けることによって信頼を獲得し、売り上げ増などに繋げる手法を、「コンテンツマーケティング」と呼びます。

「コンテンツマーケティング的思考」を営業に取り入れる

コンテンツマーケティング的なものの考え方、つまりコンテンツマーケティング的思考は、実はあらゆる場面で使えます。

例えば営業。かつては戦略のない、がむしゃらな営業をしている会社が多く見られた時代もありました。また、コンサルや士業の場合、営業時にノウハウの一部のみを「チラ見せ」するケースもありました。彼らは間違いなく自分に自信がない。だからこそ、こうした手法に頼らざるをえないのです。しかし、こうして築いた関係では、必ず上下関係が生まれます。ここには信頼関係など存在せず、何かのはずみですぐに関係が壊れてしまいます。

コンテンツマーケティング的思考で営業する場合、まず親身になって相談に乗ります。聞き役に徹するのです。相手の声に耳をすませる。そうやってニーズを掘り起こします。コンテンツマーケティングでも、SNSなどの反応を見てニーズを掘り起こす「リスニング」と呼ばれる作業があります。これをリアルの場でも実施するのです。

次に、一旦自分の利益は置いておき、相手の利益のみを考えてみます。どうすれば相手の課題は解決されるのか。必要な情報を提供します。コンテンツマーケティングではWeb上にコンテンツを置くのに対し、営業では「face to face」でコンテンツを発信するイメージです。

クマベイスでも、かつては焦ってクロージングをかけていた時代もありました。しかし、直前で契約に至らなかったり、契約できたとしても上下関係が構築され、クライアントと本音で議論できないなどの弊害が生じていました。これは経営的にもそうなのですが、何より精神的に辛い。従業員のモチベーションにも関わってくる問題です。

「コンテンツマーケティング的思考」の共通理解で仕事が楽しく

クマベイスでは、1年ほど前から「お願い」ベースの営業を一切やめました。以前は「お願いします!」と頭を下げていたのを、契約が取れなくてもいいので、相手の悩みを解決することだけに集中するようにしたのです。よく驚かれるのですが、場合によっては、同業他社を紹介することも、ままあります。しかし、こうしたことを繰り返すことで、会社にとってお金以上に大切な(はずの)「信頼」がどんどん貯まっていくのです。

このコンテンツマーケティング的思考を社内ミーティングのたびに確認し続けたところ、前年比で売り上げが倍以上に伸びました。これまでは、土下座する勢いでもうひと頑張りすれば取れていた案件も、今では深追いしません。従業員のストレスは減り、皆「仕事が楽しい」と口にするようになりました。やりがいを感じると、生き生きとした魅力的な人間になります。そうした人とは誰もが「一緒に仕事がしたい」と思いますよね。

クマベイスでは、専門の営業職は置いていません。その理由は、クライアントや知人の紹介だけで、会社がなんとか回るようにまでなったからです(営業専属を雇う余裕がないということもありますが汗)。

コンテンツマーケティング的思考は、上場企業など、大きい会社になればなるほど取り入れるのが難しいかもしれません。しかし、私たち地方の中小企業にとっては、長い目で見れば最高の思考方法だと強く感じます。

もちろん、注意点も存在します。コンテンツマーケティングは一度コンテンツを投稿しさえすれば、そこからの人的労力はそれほど多くありません。一方、リアルな営業では、深入りして契約が取れなかった時のダメージは計り知れません。したがって、コンテンツマーケティング的思考の営業は、いくつか念頭に置いておかねばならないことがあります。これについてはまた別の機会に説明します。(株式会社クマベイス 代表取締役CEO 田中森士)