コンテンツマーケティングを語るうえで欠かせない考え方が「カスタマージャーニーマップ」です。当ブログでも何度も取り上げていますが、改めてカスタマージャーニーとは何なのか、なぜ大切なのかについて解説。カスタマージャーニーマップの事例についても紹介します。

改めて「カスタマージャーニー」とは

改めて、「カスタマージャーニー」とは何でしょうか。カスタマージャーニーとは、マーケティングにおいて不可欠なフレームワークで、ペルソナが商品・サービスについて「認知」し、「情報取集」を行い、「比較検討」して「購入」するまでの「状況」「心情」「知りたがっていること」「行動」の変化を表したものになります。その変化を見える化したものが、「カスタマージャーニーマップ」です。下図はドラム式洗濯機を例にしたカスタマージャーニーマップの例です。

認知 情報収集 比較検討 購入
状況 縦型洗濯機が壊れて新しいものが欲しい ドラム式洗濯機を検討 メーカーをある程度しぼった ドラム式のメリット、デメリット、機能も理解した上で購入機器も決定
心理 ドラム式洗濯機の購入を考えているが、よく分からない 選ぶ基準はどうすればいい? どのメーカーにしょうか悩んでいる 本当にこの商品でいいか?もし壊れてしまった時の保証は?
知りたがっていること ドラム式のメリット、デメリット 選ぶ基準 メーカーごとの機能の違い 実際に動いている様子、保証内容
行動 ネット検索、友人に聞く ネット検索 各メーカーのホームページやカタログを見る 動いている様子を動画で見る、保証内容を確認する

(※スマートフォンで閲覧される場合、端末を横向きにすると表が見やすくなります)

(ペルソナについてはこちら)コンテンツマーケティングとは? 定義と仕組み、コンテンツの種類を解説

カスタマージャーニーマップの利点

カスタマージャーニーマップの利点は、顧客の段階ごとの状況を整理することで、顧客目線で戦略を考えられるようになることです。

「顧客にとって有益な情報を適切なタイミングで配信する」ことがコンテンツマーケティングの基本的な考え方ですが、「有益な情報」について考えることはできても、「適切なタイミング」についての考えが抜け落ちてしまっているケースもあります。「結果、認知段階のコンテンツは豊富にあるが、情報収集、比較検討の段階でのコンテンツが乏しく、購入にまで至らない」ということになってしまいがちです。

コンテンツマーケティングの全てはペルソナ設定から始まりますが、カスタマージャーニーマップの作成はその次の段階ともいえるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップの作り方について解説します。こちらは米国のContent Marketing Instituteの記事を参考にしております。より学びを深めたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

1.まずはペルソナを設定する

まずは何よりも必要なのは、ペルソナを設定することです。「全てのスタートはペルソナから」と肝に銘じておきましょう。ペルソナはできるだけ具体的なほうがよいです。「名前」「年齢」「性別」「住んでいる地域」「家族構成」「仕事」「生活スタイル」「普段見ているテレビや雑誌」「休日の過ごし方」など、本当に存在するかのように設定していきましょう。

2. ビジネスゴールに沿って顧客のゴールを設定する

「ビジネスゴール=カスタマージャーニーマップのゴール」を設定しましょう。一般的には「購入」が最後のゴールとして用いられますが、「問い合わせ」や「イベントへの参加」をゴールと置くことで、さまざまなケースに合わせたカスタマージャーニーマップを作成できます。最終的に顧客にどのような行動を取ってほしいのか明確にしたうえで、カスタマージャーニーマップの作成に当たりましょう。

3.カスタマージャーニーマップのフレームワークに沿って顧客の情報を集める

カスタマージャーニーマップの作成には、顧客についての情報収集が欠かせません。特に、顧客の心情や知りたがっていることについてのリサーチは必須です。実際に購入に至った顧客にアンケートを実施するなどし、カスタマージャーニーマップのフレームワークに沿った質問を投げかけてみましょう。そのほか、これまで行ってきた施策を振り返るのも有効です。「顧客はこう考えていると思っていたけど、うまくはまらなかったもの」についての改善策を考えることは、顧客の心情をより深く知るためのヒントになります。

ここで気を付けたいのは、調査をしすぎるあまり、時間を取られてしまうこと。つまり、調査自体が目的になってしまうことです。最終的な目的は、カスタマージャーニーマップを作ること。調査はいくらでも時間をかけることができますが、ある程度の情報が集まったら一度実践し、うまくいかなかった部分の改善点を探していくというのが効率的な進め方です。

4.情報をフレームワークに落とし込んでいく

フレームワークに集めた情報を落とし込んでいきましょう。作ったカスタマージャーニーマップは社内で共有しましょう。これでコンテンツマーケティングを始める準備は整いました。

カスタマージャーニーマップとコンテンツ

作成したカスタマージャーニーマップに沿って、顧客にとって有益なコンテンツは何か考えていきます。ここで重要なのは、配信チャネルについても考えることです。カスタマージャーニーマップの行動の部分に注目し、チャネルを考えていきます。運用に当たっては必ず振り返りを行い、コンテンツをアップデートすることも忘れず行うようにしましょう。

認知 情報収集 比較検討 購入
状況 縦型洗濯機が壊れて新しいものが欲しい ドラム式洗濯機を検討 メーカーをある程度しぼった ドラム式のメリット、デメリット、機能も理解した上で購入機器も決定
心理 ドラム式洗濯機の購入を考えているが、よく分からない 選ぶ基準はどうすればいい? どのメーカーにしょうか悩んでいる 本当にこの商品でいいか?もし壊れてしまった時の保証は?
知りたがっていること ドラム式のメリット、デメリット 選ぶ基準 メーカーごとの機能の違い 実際に動いている様子、保証内容
行動 ネット検索、友人に聞く ネット検索 各メーカーのホームページやカタログを見る 動いている様子を動画で見る、保証内容を確認する
コンテンツ 縦型洗濯機とドラム式洗濯機の比較記事 具体的な機能と選ぶ基準を伝える記事 各メーカーの特徴を伝える記事 動いている様子の動画、保証についてホームページ上で説明

カスタマージャーニーマップに沿ったコンテンツの例(※スマートフォンで閲覧される場合、端末を横向きにすると表が見やすくなります)

カスタマージャーニーマップの事例

ここからはカスタマージャーニーマップの事例をご紹介します。

典型的な例

Dapper Appsのカスタマージャーニーマップ

「Dapper Apps」はオーストラリアの企業向けのアプリ開発会社です。同社のカスタマージャーニーマップを見てみると、顧客となりうる企業の「典型的な質問」や「心情」、「自社がやるべきこと」について「調べる」「比較」「ワークショップ(に参加)」「「見積」「契約」の段階ごとに整理されています。

例えば、「調べる」段階での顧客の質問は「どうやったらアプリを作れる?」「プラットフォームはどれを使うべき?」「いくらぐいかかる?」など、「心情」については「好奇心旺盛」「熱心」など、「自社がやるべきこと」は「会社として信頼され、問い合わせする理由を顧客に与える」となっています。こちらのカスタマージャーニーマップはシンプルなもので、比較的参考にしやすいものといえるでしょう。

顧客の感情をグラフで表す

顧客の感情の変化をグラフ化したカスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップの例について解説しているこちらの記事では、顧客の感情の変化をグラフ化したものを紹介しています。顧客の感情を見える化しておくことは、顧客視点に立ったコンテンツを作るといった観点からすれば良い手段といえるでしょう。

リピーターも意識した「サークル型」のカスタマージャーニーマップ

LEGOのサークル型のカスタマージャーニーマップ

これまで紹介してきたカスタマージャーニーマップは直線型のものでしたが、サークル型のものもあるようです。上図はLEGOがWEBサイトを運営するにあたり、再訪率を高める目的で作成したカスタマージャーニーマップとのことです。こちらの形を採用することで、リピーターを意識したカスタマージャーニーマップを作成することもできます。

カスタマージャーニーマップを使って顧客視点に立とう

ここまで、カスタマージャーニーマップの概要や作成のポイント、例について見てきました。カスタマージャーニーマップは、顧客視点に立つための出発点となるものです。顧客視点に立ったコンテンツで信頼を勝ち取り、自社のファンを増やしていきましょう。