「何本コンテンツを作れば良いですか」。コンテンツマーケティングに取り組む人であれば、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。必要なコンテンツ数について、コンテンツマーケティング界の大家ロバート・ローズ氏は、Content marketing institute内の記事で問題提起しています。
コンテンツの量は「もう十分だ」
記事のタイトルは「Why You Should Treat Content Marketing Like a Golf Game(コンテンツマーケティングをゴルフのゲームのように扱う理由)」です。掲載は2022年9月2日と比較的新しい記事ですが、コンテンツが飽和状態にあるという状況は日本でも海外でも同じなのだと推察される内容でした。
ローズ氏は記事で「Enough is enough(もう十分だ)」という小見出しを付けています。全体的な記事の趣旨としては、「コンテンツを作りすぎる必要はない」ということを主張しています。
記事冒頭で、コンテンツを作りすぎて、戦略上無意味なコンテンツが増えていることに悩んでいるクライアントの例を紹介しています。「無意味なコンテンツが多いのならば、制作数を減らせば良いのではないか」。そうローズ氏が提案したところ、「コンテンツ制作チームのみんながもっと欲しいと思っている(からそれはできない)」と返されたそうです。
つまり、コンテンツの制作側が「コンテンツの量が足りないのでは」と不安になってしまい、結果無駄を生んでしまっているわけです。
コンテンツマーケティングをゴルフのゲームのように考える
コンテンツが飽和状態にある現状で、ローズ氏は「コンテンツマーケティングをゴルフのゲームのように考えよう」と提言しています。
ゴルフは、クラブを振った数が最も少ないプレーヤーが勝利します。ホールまで最短距離で近づくために、全てのプレーヤーが戦略を練るはずです。「とにかく闇雲に振っていればホールまで近づくだろう」と考えるプレーヤーはいません。しかし、最近のコンテンツマーケティング界では、闇雲にクラブを振ってしまうプレーヤーが増えてきてしまっているのです。
ローズ氏はコンテンツの量について「多ければ良いというものではない」としたうえで、「どうすればより多くのコンテンツを作れるかという考えが戦略を左右するのであれば、その戦略は絶望的だ」と指摘しています。では、コンテンツの量についてはどのように考えれば良いのでしょうか。
注目すべきは量ではなくインパクト
ローズ氏は、「コンテンツを多く制作することについて、効果がないと言っているわけではない」としています。しかし、コンテンツについて「より多く作る」という観点ではなく、「どれだけあれば十分か」というところに重点を置くべきだと主張しています。
コンテンツはアセット(資産)になる。コンテンツマーケティングのメリットとしてよく言われることです。「アセットを作ろう」という観点から、多くのコンテンツを生み出すべきだという考えを持つ方も多いでしょう。しかし、ローズ氏はこの点について、以下のように指摘しています。
「コンテンツを作りすぎているのではなく、デジタルアセットを作りすぎている」
「アセットを作ることに時間を割くことはやめよう」
コンテンツはデジタルだけに限りません。ペルソナにとって有益な情報を届けるという考え方であれば、「とにかくデジタルのコンテンツを大量に作ろう」という結果にはならないはずです。
結論として、コンテンツの量についてローズ氏は以下のように主張しています。
「コンテンツマーケティングで勝ちたいのであれば、必要なインパクトを得るために必要なだけのコンテンツを作ろう」
当たり前のことを言っているようですが、コンテンツを作り続けていると抜け落ちてしまいがちな視点です。多くのコンテンツマーケターが今一度、「コンテンツを作る目的は何か」「どんな結果を生みたいのか」という部分を突き詰める必要があるでしょう。結果を出すためにどれだけのコンテンツを作るべきなのかは、ペルソナとカスタマージャーニーマップが教えてくれます。
できるだけクラブを振る回数は少なく、理想の結果を出す。全てのコンテンツマーケターにとって示唆に富むローズ氏の指摘でした。