コンテンツマーケティングを進める上で避けて通れないのが、文章を書くことです。「自社のWEBサイトは用意した。やる気も十分。でも文章を定期的に書く自信がない……」というのはよくある悩み。そこで、今回はそんな方のために文章を書くコツをご紹介します。筆者自身、昔から文章を書くのが好きで新聞記者になりましたが、新人のころはうまく書けず、何度も悔しい思いをしました。そんなときの体験談も織り交ぜながら進めていきたいと思います。

見出し(この記事で伝えたいことは何か)を考える

「さあ、書いてみよう」と意気込んだものの、いざ真っ白の原稿用紙に向き合うと、途方のない作業のように思えてきます。書く前に一度立ち止まって考えてほしいことは「自分が今から何を書こうとしているのか」すなわち「文章を書くことで何を伝えたいのか」ということです。

当たり前のことを言っているように思われるかもしれませんが、ここをはっきりさせておかないと書いているうちに自分でも何を書いているのか分からなくなってしまいます。「この文章で伝えたいことを一言で表したもの」が文章の「見出し」になります。新聞で見かける見出しですが、これを見るだけでその文章で何を伝えたいのか分かります。見出しはいわば「文章の名札」のようなものであり、ゴールです。

見出しはなんとなく「こういうことかな」と頭に入れておくのではなく、目に見える形ではっきりと書いておきましょう。とは言え、最初からきれいな形でなくても大丈夫です。書いているうちに収まりのいい見出しが思いつくこともあります。最初にメモ程度に書いておくことで、伝えたいことを頭に入れながら書き進めることができます。

小見出し(記事の全体の流れ)を書く

見出しを書いたからといって、すぐに書き始めるのはおすすめしません。文章のゴールである見出しが決まっていたとしても、そこにたどり着くまでの道しるべがないと進みにくいからです。

この道しるべになるものが「小見出し」です。小見出しを何個か作ることで、文章全体の流れが決まります。この小見出しについても、文章を書く前に作ってしまいましょう。なお、SEOコンテンツの構成書に「h1」「h2」と書かれていることがあります。「h1」は見出しで、「h2」は小見出しを意味するものなので、覚えておきましょう。

今回の記事の見出しは「記事コンテンツの作り方 文章を書くコツ」、小見出しは「見出し(この記事で伝えたいことは何か)を考える」「小見出し(記事の全体の流れ)を書く」です。実際に書く前にこの見出しと小見出しを最初に書きました。このように記事の流れを作り、後は流れに沿ってひたすら書いてみましょう。

このような書き方は長い文章を書くときに役立ちます。筆者も記者として駆け出しのころ、長い記事を執筆しなければならず困り果てていたときに、コツとして先輩記者に教わりました。このように書きたいことを整理することで、自分の中で文章の中身を確認しながら書き進めることができます。

記事全体の要約(リード)→現状の課題(景色の描写)→説明(データ)→対応策(例示)→結論の順番で書く

見出しと小見出しの重要性について解説しましたが、実際に設定するとなるとどのようにすれば良いのか分からない方もいらっしゃるかと思います。その場合は「記事全体の要約(リード)」の後に「現状の課題(景色の描写)」「説明(データ)」「対応策(例示)」「結論」の順番で小見出しを作ると自然な流れになります。

「コンテンツマーケティング成功のためのチェックポイント」の記事のカスタマージャーニーマップを例に、この構成について見てみましょう。「縦型洗濯機とドラム式洗濯の比較記事」を執筆するとします。記事の趣旨は「乾燥機能を求めるならばドラム式のほうが良い」と置きます。

見出しは「縦型洗濯機とドラム式洗濯機の比較 乾燥機能はドラム式に軍配」としましょう。「記事全体の要約(リード)」は見出しの後に書きます。小見出しまで考えた後に書きましょう。

見出しを考えた後は小見出しを考えます。「現状の課題(景色の描写)」の小見出しは「縦型洗濯機のメリットとデメリット」「ドラム式洗濯のメリットとデメリット」とします。次に「説明(データ)」です。ここは「ドラム式と縦型の乾燥時間を比較」と小見出しを置きます。その後は「対応策(例示)」です。「ドラム式洗濯機の乾燥機能がさらに充実」としましょう。最後に結論です。「乾燥機能を求めるならばドラム式洗濯機」と設定しましょう。簡単な文章内容の例も付けて整理すると以下のようになります。

最初に課題を説明し、その課題をデータで裏付けし、対応策を示すことで流れの良い文章になります。繰り返しになりますが、文章をいきなり書き始めるのではなく、見出しと小見出しを最初に書き出すことが重要なポイントです。

また、社員インタビューなど、取材記事の場合は「現状の課題」の部分を「景色の描写」にすることで書き始めやすくなります。例えばインタビューする社員の出勤の様子を描写するとします。「『おはよう』。〇〇さんの大きな声が社内に響く。始業開始前のいつもの光景だ」のような形にすると、その人の普段の様子が伝わりやすくなるでしょう。

足りない情報はとりあえず後回し

文章を書き進めているうちによくあることが「情報が足りない」ということです。取材して書くにしても、インターネットで調べて書くにしても、こういったことは起こりがちです。「足りない情報がありすぎて追加で調べるのに時間がかかり、なかなか書き終わらない」といったケースもあるでしょう。

もし、情報が足りないと感じても、そこで立ち止まらず書き続けましょう。足りない部分は分かるように「●」などのしるしをつけて文中に残しておき、書き終わった後に調べるようにしましょう。一気に勢いよく書くのもコツの一つです。また、取材記事を書く場合は、分からない部分を取材相手にその都度確認するのは気が引けます。記事を書ききることで、取材内容がより整理され、頭の中がクリアな状態で取材相手に聞き直すことができる場合もあります。足りない情報があったとしてもひるまず、書き続けましょう。

文章上達のポイントは「上手な文章を読んでマネすること」

筆者の新人記者時代、先輩記者から「新聞を読むことで、文章がうまくなる。とにかく新聞を読みなさい」とアドバイスをもらいました。なかなかうまく書けないころ、藁にもすがる思いで新聞を毎日読み込みました。読み続けて1カ月が過ぎたころ、不思議と少しずつ書けるようになりました。

文章が上達するコツは「上手な文章を読んでマネをすること」です。とは言え、ただ読んでいるだけでは上達はしません。「なぜこの文章は分かりやすいのか」ということを考えながら読み進めることが大切です。先ほど例に挙げた構成を頭に思い浮かべながら文章を読んでみるのも一つの手です。自分が読みやすいと思った文章を分析し、マネしてみましょう。このような地道な努力が、伝わりやすい文章を書くための一番の近道なのです。