インサイドセールスで営業する際には、電話でのアプローチが多くを占めています。電話による営業はかける側も受ける側も印象が悪いようです。「営業電話」と検索すると予測変換に「営業電話 断り方」「営業電話 うざい」「営業電話 迷惑」と出てくることからもわかります。しかしながら、これらは、インサイドセールスに正しく取り組んでいないからこそ生じている現象です。インサイドセールスは正しく取り組めば活躍の場は多く、電話も双方にとってストレスのないものとなります。インサイドセールスは営業の中心となる可能性を秘めており、担当者レベルでも非常にやりがいのある仕事なのです。今回は、企業がインサイドセールスに期待していることや、担当者レベルでのやりがいについて明らかにします。

インサイドセールスはつらい?

きちんと戦略立てて組まれたオペレーションに沿った電話であれば、グーグル検索のように評判の悪いものではありません。なぜならインサイドセールスの電話営業はあらかじめ組まれたオペレーションにそって架電を行うため、かけて迷惑されるような相手に電話をかけるようなことは(正しく取り組んでいれば)そもそも発生しないからです。

しかし、インサイドセールスの活動の多くが「電話をかけること」であることから、電話を手当たり次第かけまくる仕事と思われている傾向があります。戦略や考慮のないテレアポは、かける側も受ける側も「平和」ではありません。

かける側は「きつい口調で断られるかも…」とおびえながらかける。そして受ける側は、営業電話だと分かった瞬間「また営業電話がかかってきた!(怒)」というマインドになってしまうからです。

先ほどの検索予測は電話を受ける側のワードでしたが、「テレアポ営業」と検索すると「つらい」「辞めたい」「離職率」とこちらもネガティブなワードばかり並びます。戦略なき単なるテレアポ営業は間違いなくつらいといえます。

そもそも企業はインサイドセールスに何を求めているのか

企業がインサイドセールスを採用する場合、どのような効果を求めているのでしょうか。単なるテレアポ部隊として疲弊するのでなく、効果的で効率的な営業のために企業がインサイドセールス部隊に求めているものは何なのか、正しく把握しておく必要があります。テレアポ営業として嫌々ながら活動する前に、まずは求められていることを理解してください。インサイドセールス部隊には様々な活躍の場があります。以下はあくまでも例です。

少数精鋭で売り上げを伸ばす

販売・契約形態に関わらず、営業セクションの人手不足はどの業界、どの企業でも深刻です。特に少子高齢化の影響で、将来を担う優秀な若手の確保には、どの企業の採用担当者も苦労されているのではないでしょうか。このような状況の中でも企業は売上を伸ばす必要があり、一人当たりの負担が大きくなっています。

営業メンバーが効率よく売上を伸ばす必要があるという状況で、インサイドセールスが力を発揮します。インサイドセールスが顧客情報や見込み顧客を正確に管理し、なるべく確度の高い見込み顧客に営業活動を集中させ、まだ確度の低い顧客はよりコンバージョンへ近づいていくようナーチャリング(育成)。これにより、少ない戦力で効率よくコンスタントなコンバージョン獲得が期待できる点で、インサイドセールスの期待値は高いといえるでしょう。

迅速な営業対応

インサイドセールスは、見込顧客に対する効果的なアプローチが可能となります。フィールドセールスしか配置していない営業スタイルと比べ、1コンバージョンあたりの工数が少なくてすみます。訪問しての商談の準備するためには、訪問場所、訪問日程(スケジュール確認と候補日程の洗い出し)、当日の訪問資料の作成と印刷、訪問ルートや電車の時間を調べるなどさまざまな準備と確認が必要です。急な事態で日程の都合が悪くなってしまった場合、再調整が必要であり、数週間先に延びてしまう可能性もあります。

インサイドセールスでは、資料請求や問い合わせを受けたタイミングで電話やメールなどですばやく連絡を取り、「本日の午後いちばんにWeb会議はいかがでしょうか」という速やかな提案も可能です。フィールドセールスの場合、まだ会ってもいない相手に詳しいヒアリングをするハードルはとても高いものです。しかしインサイドセールスであれば、リード発生時にリードソースやその他ヒアリング・アンケート情報で大まかな確度を判断することができます。その確度に応じた対応の方法で、効果的なアプローチが可能となるのです。

カスタマーサクセスと営業の連携強化

カスタマーサクセスとは、問い合わせに対し必要としている情報を提供したり、お客様の目的を達成するための支援をしたりする部署やオペレーションのことを指します。カスタマーサクセスも、主にサブスクリプション型ビジネスモデルで提供しているサービスや、利用に際して「頻繁に問い合わせが発生するであろう製品」を提供している企業に設置されていることが多くあります。提供するサービスや製品に対しての、利用客からの要望や意見をダイレクトに入手することができます。

顧客からの要望や意見をもとに想定される質問への回答を準備したり、クレームにつながりそうな意見に対しては対応策を準備したり、その説明をしたり。顧客からのフィードバックは営業活動にとって極めて重要なものです。

インサイドセールスは顧客からの要望や意見を得たカスタマーサクセスと、フィールドセールスの連携を強化するための、橋渡しの役割を果たします。そのためインサイドセールスは、これまでのリードをもとに分析した顧客情報と顧客からカスタマーサクセスに寄せられた要望や意見を集約、分析する必要が出てきます。そうすることで、フィールドセールスがより注力して対応すべき顧客を洗い出してケアしたり、最適な商談内容の検討をしたりも可能となるのです。

インサイドセールスのやりがいとはなんなのか

企業がインサイドセールスに求めるポイントを十分に理解できたら、あとは戦略にそってどんどん営業をかけていきます。インサイドセールスメンバーにとってのやりがいとは、どこにあるのでしょうか。

営業・マーケティングの中枢として活躍

マーケティング施策を実行したり、フィールドセールスへのパスで案件を創出したりと、インサイドセールスは対応範囲がとても幅広いため、大変な反面、営業の中枢となることができます。司令塔として指示を出したり、大型案件のサポートをしたりする。結果、売り上げアップに大きく貢献できることは一番のやりがいといえるのではないでしょうか。

いつでもどこでも対応できる

オフィスやお客様先などに出向く必要がないため、新型コロナウィルスの感染拡大や災害予報にかかわらず営業対応することができます。期日を少しでも遅らせることができない案件や、慎重に継続的なケアが必要な案件を任せることができ、責任感が大きくなることもやりがいと感じられるようです。

小さなPDCAをたくさん回すことができる

インサイドセールスはフィールドセールスと比較して、確度の高さにかかわらず大量のリードを抱える傾向にあります。そのためマーケティング部で立てた施策を試してみたり、営業活動改善のための試行錯誤をたくさん試してみたりすることが可能です。きまった方法のみで営業活動しつづけるだけでなく、効率化のためのトライアンドエラーをたくさん実施できることもインサイドセールスの醍醐味です。

まとめ

検索の予測変換に出てくるような単なるテレアポ営業では、受ける側が迷惑するだけでなくかける側にも大きな負担となり、定着率が低く悪循環を生んでしまいます。現状では電話営業のイメージがとても悪いのですが、正しいオペレーションを組んだインサイドセールス(「テレアポ営業」ではない)が少しずつ普及していくことにより、電話でより営業しやすい世の中になると考えています。特に現在は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、対面営業にネガティブな印象があります。

インサイドセールスとして活躍してもらうメンバーには、自分の目標を達成し、少しでもやりがいを多く感じながら活動してほしいと感じます。

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