会社の業績を上げるためにも、毎日モチベーション高く営業活動したいものですね。モチベーションを維持するうえでも、KPIの設定は必須です。今回はKPIの設定方法とKPIを設定する際の注意事項について解説します。

なぜKPIが必要なのか

KPIとは「Key Performance Indicator」の略語で「重要業績評価指数」とも呼ばれています。KPIを細かく設定することにより、目標達成までのプロセスや途中経過を明確化できます。また、インサイドセールス・営業組織全体のパフォーマンスを向上させるためにも役立ちます。

目的もなく日々漠然と営業をしていては、モチベーションが上がらないだけでなく、そのうち営業効率も下がってきてしまいます。KPIは、現状の営業手法が効率的で正しいのか、また修正すべきなのかを測る術にもなりえます。

インサイドセールスのKPIの立て方

日々の営業をモチベーション高く取り組むために需要なKPI。ではKPIはどのように設定すればよいのでしょうか。3ステップで紹介します。

インサイドセールスが求められていることを把握する

精緻なKPIを立てるまえに、インサイドセールスチームに会社が何を期待しているかを把握しましょう。求められていることをきちんと整理しなければ、違った方向性のまま進んでしまう可能性があります。例えば、インサイドセールスチーム設立の目的が「フィールドセールスへのアポイントを取る」であれば【契約クロージング数】はKPIに設定する必要はありません。

求められていることを達成する成果の水準を整理する

インサイドセールスが会社から求められていることが把握できたら、それを達成する成果の水準を設定します。例えば、インサイドセールスに会社が求めていることが【全体の契約数を増やすこと】だとします。そこから、「高確度の案件を発掘してクロージング」と「低確度のリードのナーチャリング」という2つの目標を立てたとしましょう。この2つの目標に対して達成とみなす水準を設定していきます。

「高確度の案件を発掘してクロージング」
⇒(達成の水準)インサイドセールスのみで契約をもらう

「低確度のリードのナーチャリング」
⇒(達成の水準)比較段階まで進んだらフィールドセールスにパス

設定した水準に数値をあてはめる

達成の水準まで設定できたら最後に目標となる数値を当てはめます。

成果の水準「インサイドセールスのみで契約をもらう」に関して、営業部全体で契約数100を目指し、そのうちフィールドセールスで30を目標としていたら、インサイドセールスで70となります。「比較検討段階まで進んだらフィールドセールスにパス」については、フィールドセールスの獲得30のうち、インサイドセールスからのパスを期待されている数になります。

KPIを立てる上での注意点

KPIの設定方法がわかったら、いざ設定する際の注意点も理解しておきましょう。

設定すべきでない項目を設定しない

KPIの立て方は前述の通りですが、設定する項目は慎重に議論する必要があります。例で設定した【全体の契約数を増やすこと】という期待をもとに、一足飛びに「1日の架電数100件!」としてしまってはかなり危険です。このような項目を設定した場合、1日に100件電話をかけることのみが目的になってしまい、本来の目標である「契約数」がないがしろになってしまいかねません。正しいKPI設定のプロセスを踏まずに、ありがちな項目を手軽に設定することは絶対に避けてください。

目標達成までの期間は適切に設定する

【全体の契約数を増やすこと】というKPIは長期視点の目標ですが、日常の業務に照らし合わせた達成の水準と当てはめた数字は、短期視点での設定がおすすめです。逆にインサイドセールスが会社から求められていることが短期視点で、達成の水準と当てはめる数値が長期視点の場合、日々の活動に対する目標を実感しづらくパフォーマンスが上がりづらくなってしまいます。こまめに振り返りをする達成の水準と数値については、短期的な目標を立て、インサイドセールス全体として目指すべき大きな目標は長期目線で設定するようにしてください。

設定した目標に対する進捗度を可視化する

日々営業活動をする中で、設定した目標に対する進捗は毎日確認するべきです。設定したまま期末にだけ振り返ったり、現時点でどのくらい進捗しているかを理解できていなかったりすれば、モチベーションが維持しづらくなります。活動をするうえですぐに確認できる場所(例えば印刷して壁にはるなど)で目標を管理しましょう。

KPIは適切な設定方法で、こまめに振り返りを

一度設定したKPIは期間中変更することはめったにないと思いますが、達成状況や社会全体の変化によりチューニングが必要になることもあります。目標と達成の水準については一定期間ごとに全員で振り返りを行い、より良い営業活動を回し続けられるようPDCAサイクルを回すよう心がけてください。モチベーションと目標は切っても切れない関係性だと覚えておいてください。

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