インサイドセールスは一般的に「効率を最大化させる営業手法」とされています。しかし、単にインサイドセールスという手法をとっているだけでは、効率を最大化することができません。第一に営業戦略があって、それに基づいた方法でオペレーションを組むことが不可欠です。今回はインサイドセールスのみならず、営業組織全体の営業戦略について説明したうえで、営業戦略からオペレーションをどう組めばよいのかを解説してきます。

営業戦略とは

営業戦略とは、効率よくメンバーやその他リソースを活用し売り上げ向上・最大化を目指す方針のことをしばしば意味します。狙っていくターゲットや価格、他社との差別化等を検討し、効率的に売るための方法を設定します。また、新規顧客へ売ることだけでなく、既存顧客の維持を含めることもあります。

営業戦略に対してマーケティング戦略とは、もう少し会社やビジネス全体のために策定するものといえます。時代や業界、社会問題などから、どのような商品・サービスをいくらで、どのくらい市場に投入、どのように営業するのかを設計するものです。（この「どのように営業するのか」が営業戦略）

営業戦略の上位にマーケティング戦略が存在するため、良いと思われる営業戦略を立ててもマーケティング戦略から外れたものは良い営業戦略とは言えません。

効率の良い営業活動のために営業戦略をブレイクダウン

（※ここで示している項目はすべて例です。製品・サービスの種類や業種により異なります。）

営業戦略は「営業の目的を達成するためにできる最も効率の良い方法」を考えていくことになります。ほとんどの営業組織において、目的は「自社製品・サービスを売ること」のため、営業戦略は「自社製品・サービスを売るためにできる最も効率の良い方法」を考えることになります。

営業戦略「自社製品・サービスを売るためにできる最も効率の良い方法」を以下3つに分けて設定することにより、最も効率のよい方法を検討しやすくなります。

• （１）方法
• （２）活動
• （３）計画

それぞれについて説明していきます。

（１）方法

自社の製品やサービスを売るにはどうすればいいかを考えます。大体の営業では以下の4つに分類することができます。

• 新規見込み客の獲得
• ナーチャリング
• クロージング
• 既存顧客のケア

この4つが、効率よく売るために実行すべきことです。これら以外にも営業組織でできることがあるかもしれませんが、営業戦略の「最も効率の良い方法で」という部分に重きを置くとこの4つになります。これらに対し、次の活動方法では具体的な方法を挙げていきます。

（２）活動

（１）で設定した方法に対し、どのように活動していくのかを決めていきます。

・新規見込み客の獲得
⇒認知獲得、拡大
⇒興味を高める

まず新規の見込み客を獲得するためには、営業対象の製品・サービスを知ってもらう必要があり、知ってもらった後は興味を持ってもらうことが必要です。

・ナーチャリング
⇒信頼してもらう
⇒顧客のことを知る

会社として信頼性がないとなれば購入検討が進むことはありません。また、見込み顧客の課題やニーズを知ることが必要です。

・クロージング
⇒クロージング理由を与える
⇒ソリューションを提示する

顧客が営業対象の製品・サービスを購入することで、どのように課題解決できるのか。どのようなメリットがあるのか。これらの点を提示する必要があります。

・既存顧客のケア
⇒満足度を高める
⇒課題を見つける

購入してもらったら売りっぱなしにするのではなく、その製品・サービスを利用したことにより課題が改善したか、改善点があるかなどを確認し、継続購入してもらったり、アップセルのきっかけをつくったりする必要があります。

（３）計画

（２）活動で抽出した内容に対し、どのリソースをどのくらい使い、実行するために何が不足しているのかを検討します。具体的には以下3つをおすすめします。

• どうやって実行するか。現在ある材料とないもの
• 達成していると判断する指標は何か
• 担当者と責任者は誰か

マーケティング戦略をもとにした営業戦略を立てる

営業戦略はマーケティング戦略の中（下）にあるもので、マーケティング戦略から大きく外れた営業戦略は適切ではありません。なぜなら、多くの場合マーケティング戦略の中に「自社製品・サービスを売る」という項目は含まれているからです。

また、自社製品・サービスの独自性やポジショニングを明確にすることは、マーケティング戦略の範囲に含まれます。したがって、営業戦略は単純に「売ること」に特化した比較的細かい内容を設定することになります。

営業で目標を設定する際は手近な数値や今あるリソースだけをもとにするのではなく、会社として掲げているミッションやマーケティング戦略をきちんと把握してから設定してみてください。

 

 

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