システム開発の場などでよく耳にする「アジャイル型」「ウォーターフォール型」という言葉をご存じでしょうか。営業の組織開発にもこの開発方法を応用でき、実際に成長企業の営業組織開発をのぞいてみると、このアジャイルで進められているケースが多くあります。今回はアジャイルで営業開発を進めることと、そのメリットについて解説します。
「アジャイル型」「ウォーターフォール型」とは
アジャイル型とはもともとはシステムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつです。Agile(=素早い、機敏な)というその名の通り、小さなタスク単位でテストと実装を繰り返していき、最終的な完成を目指すもの。従来の開発手法と比較して期間が短縮できるとされます。
一方、従来の開発手法はウォーターフォール型と呼ばれており、はじめに全体の設計・計画を決定してしまい、この計画に従って開発・実装していく開発方法です。Waterfall(=滝)、つまりプロジェクトが始まってしまったら滝の水が落ちていくようにどんどん進んでいき、良く言えば勢いで終わらせることができる、悪く言えば後戻りできない方法です。
営業組織づくりにもアジャイルの進め方が有効
「営業がなんだかうまくいっていない」と感じる場合、得てして営業開発の実行方法がウォーターフォールであり、いざ組織改革を行おうと提案~実行すると失敗が許されない雰囲気に包まれます。その結果、新しい発想を取り入れた「大胆な改革」は生まれにくくなり、結果「うまくいっていない」とのマインドに陥ります。
アジャイルで開発を進めるイメージは以下の図の通りです。
計画全体に小さなPDCAがたくさんあり、開発を細かく区切って都度振り返りを行うことで、営業全体がこれまでより悪くなるような大失敗は防ぐことができます。
アジャイル型営業開発の進め方
はじめの時点で完成イメージをざっくりときめたらあとは小さなサイクルを設定し回し続ける。これにつきます。この小さなPDCAサイクルはプロジェクトのはじめに設定したものだけでなく、時間が許す範囲で増やしていっても構いません。
インサイドセールスの活動をよりよくする方法として、「小さなPDCAを回そう」と何度かお話してきましたが、営業活動の中身だけではなく営業組織をつくる過程でも有効な方法です。アジャイル型の営業開発はシリコンバレーで成長している企業に採用されてきましたが、今の日本企業にもシリコンバレー成長企業と同等のスピード感が必要と感じています。新型コロナウイルス感染拡大の影響はいまだ計り知れないからです。「よりよくする」組織開発に終わりはありません。これからは気づいたことをすぐ修正できる機敏さが企業の武器のひとつになると考えます。
<関連書籍>
野口優帆『40分でインサイドセールスの考え方がわかる本』
野口優帆『続・40分でインサイドセールスの考え方がわかる本【実務編】』
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