本ブログではこれまでインサイドセールスの特徴や活躍についてご説明してきましたが、インサイドセールスとして活躍しているメンバーには、特定のスキルが身についていることにお気づきでしょうか。今回は活躍するインサイドセールス担当者が持っているスキルを10個紹介していきます。これらのスキルが(先天的、後天的問わず)備わっていればトップ営業として活躍間違いなしです。

1.架電に最適な時間の架電スピード力

営業フローが進み、あとは役員の説得や承認を経て購入という段階となりました。しかし、肝心の役員がなかなかつかまらないがため、商談が進まないというケースは思いのほか多いものです。役員ですから常に忙しいのは当たり前。電話を避けるべき時間帯は把握しておきたいものです。インサイドセールスの世界では、昼休憩直後、または始業から30~60分後に電話するのがよいとされています。この時間までに、電話で話す内容や送付予定の資料をメールにまとめたり、架電先の電話番号を見やすくしたりしておくなどして一気に40~50件かけまくるのです。必ずしも出てもらえる時間というわけではないため、始業・就業時間や休日なのかは、顧客ごとに事前調査が必要です。

2.架電以外の時間の使い方を考える力

インサイドセールスとはいえ、約8時間の業務時間の中でずっと電話をかけ続けるわけではありません。架電のための事前準備のほか、既に架電を済ませた顧客へのお礼、資料送付のためのメール作成、自身の架電リストのアップデートなど、やるべきことは多いものです。インサイドセールスの担当者は、これらの段取りや時間配分を考える能力が備わっています。無計画に活動していると、先述の架電ゴールデンタイムにのんびりメールを作成してしまったり、時間をとられるデモやWeb商談を入れてしまったりといったミスを犯してしまいます。

3.単純作業を限界まで効率化する力

同じ検討状況の顧客群には、毎回同じようなお礼メールと資料を送付しているはずです。メールを一から作成するのではなく、検討状況が近い顧客は独自にグループ化して、メールテンプレートを作っておくとよいでしょう。また、SFAに入力する情報も前もってテンプレート化しておき、必要最低限の入力で済むようにすればより効率化できます。「お」と入力すれは予測変換に「お世話になっております」、「よ」と入力すれば「よろしくお願いいたします」と出てくるように設定する。このようにインサイドセールスは毎日の活動から気づきを得て、業務の効率化に生かしています。何かに追われながら慌てて営業するのではなく、こうした小さな効率化から余裕を持った状態でたくさんのリードをさばくのです。

4.顧客の声色を読む力

インサイドセールスは一度も対面することなく電話で話すケースもあり、視覚情報なしで相手の雰囲気をつかむ必要があります。リードラベリング時にはかなりハイスコアな見込み顧客でも、実際に話を聞いてみると「そうでもないかも」と感じる場合があります。資料を送付することを提案した際に「欲しい」とは言われたものの、返事に何となく間があった。適切に運用できるかをこちらで確認するために情報提供をお願いしたところ、やや面倒そうな受け答えをされた。完全に感覚の域ですが、そういった些細な相手の行動から温度感をはかりなおすことができます。

5.読んでもらえるメールを書く力

あまり確度の高くないリードに対し、一斉にメールを送付する方法で済ませる場合もあるかと思います。とはいえ、メールの中身をしっかり読んでもらい、少しでも次の検討ステージに進む見込み顧客を増やしたいものです。メールの中身を読んでもらうには工夫が必要です。多くのリードを生み出すトップ営業はそうしたメールの作成にも工夫があるようです。

6.瞬時にメールを完成させる力

先ほどの作業効率化の中で、特に時間のかかるメールの作成については各営業必ず工夫を施す必要があるといえます。効率化の観点からテンプレート化するのはほぼ当たり前ですが、テンプレートを選んだあと、商談をしながらメールを完成させているケースがあります。これは商談をしている裏側で内職をしているということではなく、メールを議事録として作成し、顧客にそれを共有するというものです。商談が終わったら必要な情報を追加し、資料を添付、確認事項は後から確認して追送する。さらにその議事録の主語を変えてそのままSFAに入力することができれば素晴らしいスピード感で商談をこなしていくことができますね。

7.言葉だけでわかりやすく説明する力

フィールドセールスのように、現地で資料を見せながら身振り手振りで説明することができないインサイドセールスは、ファーストコンタクトが声だけの可能性が高いもの。そのため顧客から質問されたことに短く、正確に回答するための能力が必要です。いくら説明してもわかってもらえないようであれば、検討が浅い場合即検討から離脱ということもあります。言葉だけでわかりやすく説明するために、適切な「たとえ話」を準備しておくとわかってもらえるケースが多いでしょう。言葉で適切に説明できないようなあまりに複雑な質問してくる場合は、逆に検討がかなり進んでいると見えますので、電話だけでなくWeb会議やデモ・トライアルに誘導するなど臨機応変な対応も必要です。

8.見切りをつけるスピード力

日々大量のリードが発生している場合、リードラベリング時の条件では高確度であっても契約・購入が難しそうだと感じるケースもあります。検討に関わるステークホルダーが多すぎたり、購入意思はあるものの対象の製品をあまり必要としていなかったりといったケースです。そういった「あと少しなのにだらだらと時間だけがかかってしまう案件」については、どこかで見切りをつける必要があります。トップ営業はその判断までがとても速い。見切りをつけるといってもリードを切り捨てていきなり失注扱いにしてしまうということではなく、こちらから宿題を出して、先方にじっくり考えてもらい、必要になったらまた連絡をしてもらうということです。

9.落とし穴を見抜く力

リードラベリングでは、高確度ですぐにでも商談をはじめたいリード情報がおりてきたとしても、一旦落ち着くことが必要です。SFAに思わぬ落とし穴が表記されていることがありますので、架電前には時間をかけすぎない程度に情報をチェックしましょう。筆者の経験で、高確度のリードの中に、サービス提供不可能地域の顧客がありました。問い合わせの必須項目の欄にプルダウンで記入し、対象外であれば不可のフラグが立つように設定をしていたのですが、備考欄に小さな文字で記入があったのです。気づかず架電、ほぼ契約というところで気づき謝罪をした記憶があります。問い合わせは日本語だったが会話してみると中国語のみ話せる法人だった。家庭向けの提供はしていないにもかかわらず、個人から問い合わせがあった。このように落とし穴も多いのです。リードとして登録される際に、顧客を大分類できますが、このような細かい条件は、最後は担当営業が確認する必要があります(中国語の件は不可能でしたが……)。インサイドセールスは効率を求めてスピーディーな対応が必要ですが、相手に失礼になるような行為とならないためにも、得た情報は必ず目を通しておくことが重要です。

10.リードラベリング情報から購入担当者を想像する力

リードラベリングは主に顧客が入力した情報から行います。検討状況について丁寧に記入されているものもあれば、必須項目のみを最低限入力しているものもあります。単に確度の違いのみならず、入力した担当者とのコミュニケーションにも関係してきます。具体的には、丁寧に記入がされている担当者には多めに情報を送付しても問題なさそうだ、逆であれば簡易的なものから見てもらおう、などの行動が想像できます。間違った先入観を持つのは良くないですが、ある程度相手に合わせたコミュニケーションは有効である可能性が高いでしょう。

まとめ

筆者がインサイドセールス時代に隣に座っていた、トップ営業の10個のスキルを紹介しました。しかし、ちょっと意識するだけで誰でも実行できそうだと執筆しながら思いました。顔の見えない相手に信頼してもらう、かつ時間をかけすぎず効率的な活動が求められるインサイドセールスは、細かいテクニックやパーソナリティーが重視されます。決して高度ではない10個のスキル、もし新たな発見があれば習得に挑戦してみてください。

<関連書籍>
野口優帆『40分でインサイドセールスの考え方がわかる本』
野口優帆『続・40分でインサイドセールスの考え方がわかる本【実務編】』
野口優帆『新・40分でインサイドセールスの考え方がわかる本【withコロナ編】』

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