コンテンツマーケティングにおける重要な媒体のひとつ、オウンドメディア。メディア企業のように情報を発信することの多いコンテンツマーケティングでは、オウンドメディアの運用が成否のカギを握るといってもよいでしょう。とはいえ、「オウンドメディア≠コンテンツマーケティング」という点には留意しておかねばなりません。この点にも触れながら、オウンドメディア成功のポイントについて解説します。
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、「自社サイト」「自社のSNS(Facebook、Twitterなど)アカウント」「メールマガジン」など、自社が所有したり運営したりするメディア(媒体)のことです。今や世の中の多くの企業が、何かしらの「オウンドメディア」と呼べる媒体を持っています。ただし、日本国内において狭義には、自社で運営するWEBメディアを指すことが多いようです。いずれにせよ、自社が主体となって情報を発信できることや、ある程度自由に管理できる点がオウンドメディアの利点です。
オウンドメディア成功のポイント
オウンドメディアを成功させるためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここからは成功させるために押さえたいポイントをご紹介します。「コンテンツマーケティング成功のためのチェックポイント」で取り上げた内容と重なるポイントも多いので、こちらも合わせてご覧ください。また、自社サイトや自社WEBメディアを持っていればSEOを実践することで、認知獲得が期待できます。
オウンドメディアの目標(ゴール)を設定する
自社サイトやSNSアカウントを持っていても、目標(ゴール)がないまま情報発信しても意味がありません。まずはオウンドメディアのKGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指数)を設定しましょう。
オウンドメディアで自社の認知を向上させたいのでしょうか。それとも、問い合わせや注文を受けたいのでしょうか。何を目標とするのか明確にし、「何をもって目標が達成できたといえるのか」分かるよう、具体的な数値で設定しましょう。
KGIだけでなく、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を設定することも忘れてはなりません。KPIはKGIを達成するための中間目標です。ここまで設定して初めて「オウンドメディアを管理している」ということになります。KPIについては、こちらの記事にあるカスタマージャーニーマップが参考になります。
「誰に届けたいか」を明確にする
「誰に情報を届けたいか」は、オウンドメディアのみならずコンテンツマーケティングを実践する上で重要な視点です。オウンドメディアを見てもらいたいペルソナを設定しましょう。設定したペルソナが具体的であるほど、オウンドメディアは大きな効果を発揮します。ペルソナについては、コンテンツマーケティングの基本を解説した記事をご参照ください。
CTA(Call to action)を定める
CTA(Call to action=行動喚起)とは、オウンドメディア上で喚起したいユーザーの行動を意味します。場合によっては、クリックしてほしいテキストやバナーを指すこともあります。例えば自社サイトであるならば、掲載している記事ページの下部に「資料請求はこちら」「お問い合わせはこちら」などのテキストリンク、または画像リンクを設置することになります。
どれだけペルソナにとって役に立つコンテンツを配信しても、CTAを設置していなければ「いい記事だった」という感想だけで終わってしまうでしょう。CTAは明確に、分かりやすい位置に設置しましょう。とはいえ、コンテンツを邪魔するような位置に設置してしまうと逆効果です。CTAの位置はどこが適切な位置か複数のパターンで試しましょう。
組織(チーム)を作る
オウンドメディアの運営チームを作りましょう。オウンドメディアの運営は疎かにされがちですが、せっかく立ち上げたものならば最大限に活用しなければ意味がありません。
では、チーム内で具体的にどのように役割を振り分ければよいでしょうか。まずは、全体を指揮する人物を置きましょう。ディレクターやCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)などがこれに該当します。全体の戦略設計や、オウンドメディアを含めたコンテンツの企画などを行います。
コンテンツを制作するライターも必要です。作成したコンテンツを編集する編集者も必要でしょう。そして、自社サイトを制作、デザイン調整するデザイナーもいれば心強いです。KGI、KPIが達成されているか分析する役割を持つ人も重要です。
自社のリソース次第では、これらを一人で行っているケースもあるでしょう。しかし、ここでご紹介したようにオウンドメディアの運営には手間がかかります。例えば米国のコンテンツマーケティングにおいては、10人規模で運用しているケースもよくあります。本来は複数人のチームを組んだ方が適切に運営できるでしょう。自社のリソースがない場合は、足りない部分を専門企業に委託するのもよいでしょう。大切なことは、「オウンドメディアの運営を適正化し、自社リソースを見極める」ことです。
定期的に配信する
オウンドメディアの信頼を得るためには、定期的に更新することが大切です。更新していない自社サイトやSNSアカウントを見た場合、自社に興味を持った人であってもあまりよい印象は持たないでしょう。コンテンツの質を保つことは重要ですが、質を求めすぎて更新頻度が落ちてしまっては本末転倒。まずは質よりも「定期的に更新する」ことを意識しましょう。
振り返りを行い改善する
コンテンツマーケティング全般に言えることですが、オウンドメディアのKPI、KGIが達成できているか定期的に振り返ることが大切です。達成できていない場合は改善に取り組まなければなりません。改善点は「コンテンツなのか」「自社サイトのデザインなのか」「リソースの部分なのか」など、さまざまな視点からオウンドメディアの課題を洗い出しましょう。
オウンドメディアを含む「トリプルメディア」とは
「コンテンツマーケティングのプロモーション方法はオウンドメディアだけ」と思われる方も多いかもしれません。しかし、オウンドメディアはコンテンツマーケティングを実行するメディアの一つにすぎません。
オウンドメディア以外にも一般企業や一般組織が関係するメディアには「ペイドメディア」「アーンドメディア」と呼ばれるものがあります。この3つのプロモーションメディアを「トリプルメディア」と呼びます。それぞれ何かしらのコンテンツを配信していることから、全てコンテンツマーケティングのプロモーション手法といえます。ペイドメディア、アーンドメディアについて詳しく見ていきましょう。
ペイドメディア
ペイドメディアとはテレビや新聞、ラジオに広告費等の費用を支払うことで利用できるメディアのことです。テレビコマーシャルや新聞広告などが該当します。オウンドメディアが発達していない時代からあり、多くの人にとってなじみの深いプロモーション手法でしょう。
アーンドメディア
アーンドメディアは、「評判を稼ぐメディア」といえます。例えば、「マスメディアの取材を受け取り上げられる」「業界誌に記事を寄稿」「業界で有名な人物にSNSで自社について言及してもらう」など、自社メディア以外のメディアに取り上げてもらうことが該当します。信頼のできる第三者のメディアに取り上げてもらうことで自社を広く宣伝できますが、取り上げてもらうまでのハードルが高く、自社で管理できないメディアともいえます。
トリプルメディアは対立しあうものではない
冒頭でも述べたように、コンテンツマーケティングはメディア企業のように情報を発信することを主眼に置いています。このように見てみると、「オウンドメディアとペイドメディアは対立するのではないか」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、トリプルメディアは対立するものではなく、それぞれをうまく活用することで大きな効果を発揮するのです。
例えば、自社サイトで発信した情報(オウンドメディア)についてプレスリリースを配信し、マスメディアに取り上げてもらいます(アーンドメディア)。それと同時にメディアの広告に出稿する(ペイドメディア)することで、大きく自社の認知度を高められます。
予算に余裕があるのであればペイドメディアは大きな効果を発揮しまが、効果は広告が出ている間のみです。一方、オウンドメディアやアーンドメディアは大きな予算のない企業でも取り組め、オウンドメディアはコンテンツが資産となることから効果の持続性があります。トリプルメディアを考える上で重要なのは「それぞれのメディアの特徴を理解した上で、柔軟に活用すること」です。「ペルソナに情報が届きやすいメディアは何か」といった視点も持ちながらメディアを活用していきましょう。