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近年、コンテンツマーケティングにおいて価値が見直されているチャネル(経路)の一つが、メールマガジンです。使い古された手法にも思えますが、情報過多の今の時代だからこそ、大きな可能性を秘めているといえます。今回は、メルマガ配信のポイントについて解説します。
メールの力は決して衰えていない
SNSの台頭により、個人的なやり取りでメールを使う頻度は少なくなりました。しかし、ビジネスやマーケティングの世界では、メールは主要チャネルの一つです。
米国のContent Marketing Institute(CMI)の創設者であるJoe Pulizzi氏は、自身のメルマガで「A Social Media Warning」と題し、以下のように述べています。
SNSのネットワークは借り物である。(中略)SNS運営会社があなたのSNS上でのつながりをどうしようが、あなたはコントロールできない。(中略)SNS運営会社は、いつでもあなたをプラットフォームから追い出すことができる。
Joeはメルマガでドナルド・トランプ氏がツイッターやフェイスブックからアカウント凍結の処置を受けたことを例に挙げた上で、上記のように述べています。
上図は、Joeがメルマガで添付した画像です。上から、サブスクライバーのエンゲージメントが高い順にチャネルが並びます。これを見ると、SNSでのつながりは、決してエンゲージメントが高い状態にあるとはいえないことが分かります。
新型コロナウイルス感染症の影響が大きくなる中、「SNS疲れ」という言葉も聞かれるようになりました。SNSは「有益でない情報」もタイムライン上で流れてくるため、ストレスとなることもあります。
一方、メルマガはメールアドレスを提供しない限り、メールが送られてくることはありません。受け手からすれば、情報の取捨選択がしやすいコミュニケーションツールといえます。
配信側からすれば、メールはSNSよりもコントロールしやすいコミュケーションツールです。メールアドレスという個人情報の提供を受けていることから、SNSよりも比較的エンゲージメントが高いオーディエンスに情報を提供できるという利点があります。また、プラットフォーム側の都合で、つながりの濃度が変わるとこともありません。例えば、マーケティングでSNSを使用する場合、アルゴリズム変更に伴うリーチ率減少などのリスクが伴います。
CMIの調査によると、2020年にコンテンツマーケティングに取り組んだBtoB企業の77%がメルマガを活用したとのことです。この数字はブログ記事(93%)に次いで高い割合となっています。メルマガの成否はコンテンツマーケティングの成否に大きく影響するといっても過言ではありません。
メルマガを始める場合は「配信の目的」「ペルソナ」を明確にする
メルマガを始める場合、「配信の目的」「ペルソナ」を明確にすることが欠かせません。
例えば、BtoC企業のメルマガであれば、直接購買に結び付くような内容のメールを送っても構わないでしょう。しかし、BtoB企業の場合は、メルマガで商品について宣伝したところで、購買には結びつきにくいといえます。直接的な宣伝よりも、自社の持つノウハウを伝えるような内容が良いでしょう。
ペルソナについても明確にしておく必要があります。メールの文体や内容、メール全体のデザインなど、全てはペルソナ起点で考えなければなりません。しっかり設定しておくことで、一貫した内容のメールを配信できるのです。
テキスト形式orHTML形式
メルマガの配信形式には、テキスト形式とHTML形式があります。テキスト形式は文字のみで配信する形式、HTML形式は画像などを添付でき、見た目を作りこめる形式です。
テキスト形式はレイアウトを作りこむ必要がないため、大きな手間をかけることなく配信できます。しかし、目を惹くようなデザインにはできないため、エンゲージメントを高めることが難しい可能性があります。一方、HTML形式であれば、画像などを使ってブランドの世界観を表現しやすくなります。
こちらは米国の花配達会社のメルマガです。花の画像を使いながら世界観を表現していることが分かります。ビジュアルに訴える必要がある商品を取り扱っている場合は、HTML形式で配信するのが良いでしょう。
配信の際の注意ポイント
実際に配信する際に注意しておきたいポイントについて見ていきましょう。
同意を得た上で配信する
メルマガを配信する上では、必ず同意を得るようにしましょう。ECサイトなどでメールアドレスを入力してもらう際には、メルマガを送っても良いかチェックボックスを設けるなどしましょう。同意を得ずメルマガを配信した場合は、特定電子メール法違反になります。
もらった名刺に記載してあるアドレスにメルマガを配信するのは、違法でないケースが多いようです。しかし、倫理上同意を得ずに配信するのは控えたほうが良いでしょう。自身の名刺にメルマガ登録フォームのQRコードを記載しておく、といった程度にとどめておくのが理想といえます。
配信の頻度
どれだけ伝えたい情報があっても、メルマガを頻繁に送信するのは控えましょう。迷惑メールと捉えられる恐れがあります。「これぐらいの頻度が良い」とはっきり明示できるものではありませんが、週に一度ぐらいのペースでの配信が望ましいでしょう。
「配信の主体」を明確にする
必ず誰が配信しているのかを明示しましょう。発行元の企業名、住所、HPアドレス、発行責任者など、はっきりと身元を明かすことで受け手は安心します。
簡単に解除できるようにする
メルマガの解除方法を明示しましょう。分かりにくく小さく記載したり、解除までのプロセスを複雑にしたりといったことは厳禁です。不誠実な印象を受け手に与えてしまうことになります。
「人間味」を大切にする
MAツールなどでメルマガを自動配信するケースも見られます。その場合、配信ごとに内容を考え、書き手の顔が浮かび上がるような人間味のある書きぶりにしましょう。コロナの影響から人々はより人間味を志向するようになります。海外のメルマガ界隈では「人間味」がキーワードとなっています。開封率などの計測をメールの受信者がブロックできるサービスも生まれるなど、人間味志向はこれからも高くなるでしょう。
メルマガはコミュニケーションプラットフォームになり得る
メルマガは、エンゲージメントを高めることのできる、大変有用な手段です。SNSにひずみが見えてきた今だからこそ、メルマガの可能性を再考してみてはいかがでしょうか。
クマベイスではコンテンツマーケティング視点でメルマガのコンサルティングを提供する「メルマガ戦略コンサルティングサービス」を提供しています。戦略立案からコンテンツ企画、添削までサポートいたします。メルマガの運営を始める、または戦略の見直しをご希望の方は、ぜひご相談ください。
<イベントのお知らせ>
メールマーケティングのイベントを9月22日18時よりオンラインで開催致します。
イベント名は「メールマーケティング最前線~コンテンツマーケティングでの活用ノウハウ」。海外のメールマーケティングのトレンドを押さえるとともに、コンテンツマーケティングでどのように活用できるかを考えるものです。
キーノートスピーカーはB2Bコンテンツマーケターでコンテンツマーケティングラボ前編集長・三友直樹さんに務めていただきます。
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