書籍シリーズ『コンテンツマーケティング最前線』(クマベイス出版)第2弾、「コンテンツ制作の極意」出版を記念したトークイベントが3月14日、東京・赤坂のFaber Innovation Hubで開かれました。イベントには、本書に登場する「セーラー服おじさん」こと小林秀章、コンテンツマーケティングラボ編集長の三友直樹、Faber Companyの山田明裕の3氏が、特別ゲストとして登壇。人々に支持されるコンテンツの条件や、 記事コンテンツ制作の極意などについて、 株式会社クマベイス代表取締役CEOの田中森士と語りました。本稿では、イベントの様子をレポートします。

良質なコンテンツとは「最後まで読んでもらえるコンテンツ」

今回出版された書籍のタイトルは、『コンテンツ制作の極意』。この日の出版記念イベントでは、良質なコンテンツとは何か、というテーマを軸に議論が進みました。

右から三友氏、山田氏、小林氏

SEOの専門家である山田氏は、「最後まで読んでもらえるものが良質なコンテンツだ」と再三にわたり強調。そうしたコンテンツを目指すことで、読者が何かしらのアクションを起こしてくれることにも繋がると指摘しました。

SEOの専門家である山田氏ですが、キーワードから意図を読み取ってコンテンツを企画するだけでは、同質化してしまうとの課題感を挙げました。その結果、「最後まで読んでもらえないコンテンツ」になるとした上で、「個性を出したり、ある意味で振り切ったコンテンツが必要」との考えを示しました。

三友氏は、企業が発信する情報は、宣伝目的であることは当然にもかかわらず、「宣伝しようとしている感」を読者が感じると、嫌悪感を抱かれることもありうると指摘。その背景には、企業側が読んでもらうこと、売ることと「だけ」を考えてしまっている点にあると訴えました。その解決策として三友氏は、「イタコ」となってペルソナの気持ちを理解する手法を提案。ペルソナの気持ちを理解した上でコンテンツ制作にあたれば、先述のリスクを減らすことができると自身の考えを述べました。

小林氏も三友氏に同調し、「マーケティング」というイメージを読者に与えてしまうのはご法度であると指摘。「マーケティング臭」がしているかどうか、現代の読者は非常に敏感になっており、それが読み取られないコンテンツこそが、良質なコンテンツであると述べました。

また小林氏は、オウンドメディアが一般化する一方で、キュレーションメディアが衰退しつつあるとの見方を提示。キュレーションメディア自体は、本来素晴らしい思想であるとした上で、質の悪い情報をまとめるようなキュレーションメディアが一部で生まれたため、「キュレーションメディア=誠実でない」との印象を一部の読者に与えてしまったと指摘しました。その上で小林氏は、「何においても相手に対し親身になることが大事」と述べました。

ペルソナは必ずしも設定する必要はない

続いて話題は、コンテンツマーケティングと切り離せないペルソナ設定に及びました。

「ペルソナ設定をあまりしない」という山田氏。その意図として、「ニキビ跡」など1ワードだけで検索する人は、老若男女問わず存在するため、そこで細かいペルソナ設定をするとターゲットの幅を狭めることになる、と明かしました。

三友氏も、ペルソナは必ず設定しなければならないわけではないと指摘。読者の生活状況や、業種によっても異なり、また変わり続けるものであるため、都度対応させていくことが重要との考えを示しました。

「日本のアイコン」として引っ張りだこで、今回「コンテンツ」の立場として登壇した小林氏は、「私の場合は自分でペルソナの情報が取れてしまう」と別の見方を提示。「写真撮ってもらえますか」などと、街で声をかけてきた人がペルソナであると考えているとのことです。この経験から、企業もとりあえずコンテンツを出してみて、それに興味を持ってくれた人がペルソナであると認識してもよいのでは、と述べました。

読者や消費者に対し親身になることが大事

コンテンツ制作に具体的にどのように取り組むべきか。こうした悩みを抱えるコンテンツマーケティング担当者は多いようです。

この問題について山田氏は、ある一定のところまで自力でやってみることの大切さを強調。そうすることで、自分でやれる部分と、外注する部分が明確に分かると指摘しました。

三友氏は、何を重視するかによってワークフローは変わると指摘。エンゲージメントや信頼を重視するなら、消費者自身にコンテンツを制作してもらうことが適しており、単純にPV数を稼ぎたいのであれば、記事を量産するなどのやり方もあるかもしれない。マーケティングの目的に応じて変えてほしいと訴えました。

パネルディスカッションの締めくくりは、登壇者から参加者らへ向けてメッセージが贈られました。

山田氏は、「『熱量』と『個』を出していくことこそがコンテンツ制作の極意である。個の熱量で勝負する。熱量がないと何も残らない」とコメント。三友氏は、「自分の主観や熱量と同時に、テクノロジー面も必要になってくる。バランスを意識してほしい」と訴えました。小林氏は、「読者や消費者に対し親身になることが何より大事。儲けることを目的としたコンテンツではなく、見た人に喜ばれるコンテンツを目指した方が企業利益に繋がるのでは」と述べました。

モデレーターを務めたクマベイスの田中森士

今回のトークイベントでは、読者のことを第一に考えることや、熱量を持って取り組むこと、個性を出すことなど、コンテンツマーケティングのイベントではなかなか聞けない考えが提示されました。参加していただいた方々には、ぜひ自社のコンテンツマーケティング戦略において、参考にしていただきたいと感じます。

イベント終了後はサイン会が開催され、参加者らが列を作った

<イベント情報>
『コンテンツマーケティング最前線02 コンテンツ制作の極意』の出版記念トークイベントが3月26日、渋谷・道玄坂のBOOK LAB TOKYOにて開催されます!
書籍に登場する専門家らが、コンテンツ制作の極意について大激論。
詳細は以下よりご確認ください。

3月26日@道玄坂のBOOK LAB TOKYO

<書籍情報>

クマベイス出版→https://kumabase.stores.jp/items/5c6cd5a1e73a2540e214cc75
Amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4991076501
kindle版→https://www.amazon.co.jp/dp/B07P4D3VSC