「人生100年時代」「老後2000万円問題」といったワードを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。医療の発展や健康意識の高まりなどで寿命や健康寿命が延びていくと予想される中、将来のお金に不安を持っている方も多いと思われます。このような状況下において、金融機関では投資に関するノウハウを解説するコンテンツを充実させる動きが見られるようになりました。今回は、なぜコンテンツマーケティングと金融業界の相性が良いのか、そして金融コンテンツを展開するうえで考慮すべきポイントを解説していきます。

顧客の現状

まずは、どれだけの層が投資に興味を持っているのか、つまり「投資のニーズ」について確認し、金融機関とコンテンツの関係性を探っていきましょう。

20~30代へのアプローチがカギを握る

金融庁が平成27(2015)年に公表した報告書「若年層を中心とした個人による投資の現状とNISAの利用促進に向けた課題に関する調査」によると、20~40代の約半数が投資経験者、投資関心層だといいます。投資関心層だけに注目すると、20代の男性で27.0%、女性で27.2%、30代は男性で20.5%、女性で24.6%と、およそ5人に1人が投資に興味を持っていることが分かります。この割合はほかの世代に比べて高く、金融機関からすれば20~30代の投資関心層にどれだけアプローチできるかがコンテンツマーケティングを展開する上で重要となってくるでしょう。

投資に関する勉強法はインターネットによる情報収集が多い

さらに報告書を読み解いていきます。「金融・投資学習方法の内訳」についてもデータがありますが、「インターネットで金融・投資について詳しく調べた」と回答した割合は投資経験者で33.2%、投資関心層で10.6%でした。この割合はいずれも「金融・投資に関する書籍・雑誌を参考に学習した」「金融機関の営業担当から説明を受けた」といった13項目の回答のなかでトップとなっています。

また、「興味を持ってから口座開設までの行動」では「金融機関のホームページ等で情報収集した」と答えた割合は男性ではトップ(36.2%)、女性では3番目(22.9%)でした。また、「口座開設から商品購入までの行動」でも男性は「金融機関のホームページ等で情報収集した」の割合がトップで、女性は2番目に高い割合でした(女性は家族や友人に相談、口コミサイトを見る割合が高いようです)。

これらを鑑みると、ホームページで金融知識について解説するコンテンツを充実させることで、見込み顧客から自社を発見してもらう可能性が高まるといえるでしょう。

金融業界とコンテンツマーケティングの相性は良い

従来からコンテンツマーケティングに積極的に取り組んできた業界として、不動産業界が挙げられます。不動産投資というサービスの性質上、顧客からの専門的な知識に対するニーズが高いため、顧客に有益な情報を与えるコンテンツマーケティングが力を発揮してきたという背景があります。これは金融業界にも当てはまるため、金融業界とコンテンツマーケティングの相性は良いといえるでしょう。

コンテンツが信頼を与える

コンテンツマーケティングに特化した管理ツールを提供する米国のNewsCredの調査によると、銀行が有益なコンテンツを提供している場合、55%の人がその銀行を信頼するという結果が出ています。また、高品質のコンテンツを提供し続けている銀行に対し、50%の人がロイヤルティ(愛着)を持ち続けるといいます。また、若年層ではこの傾向が強く見て取れるようです。18~24歳の66%が、有益なコンテンツを提供している銀行を信頼する、59%が興味深い記事を銀行が提供したいた場合、ウェブサイトに滞在しようと思うと回答しているそうです。

コンテンツの質は、顧客の金融機関への信頼性にも影響を与えているのです。

有益なコンテンツを提供するためには専門家の監修が必要

顧客にとって有益なコンテンツを作るためには、専門性を担保したコンテンツを作り続けなければなりません。そうすることで、顧客の信頼を獲得できるのです。金融機関のコンテンツ作りにはファイナンシャルプランナーなどの専門家による執筆、または監修が欠かせないでしょう。NewsCredの同調査でも、53%の人が財務専門家の記者による記事を信頼すると回答しているようです。

金融業界の典型的なコンテンツ事例「Mint.com」のブログ

ここで、金融業界の典型的なコンテンツ事例をご紹介します。米国、カナダに向けて個人向けの財務管理アプリなどを提供しているMint.comのホームページで公開されているブログでは、金融に関するノウハウを解説する記事を掲載しています。「退職プランを見直す方法」や「15年VS30年の住宅ローン どちらが良い?」など、お金のノウハウについて丁寧に解説しています。金融商品を展開している企業ではありませんが、金融業界のノウハウ系のコンテンツの参考になる例といえるでしょう。

コンテンツは「営業資料」ではない

コンテンツを作る際に意識しておきたいことは、コンテンツは「営業資料」ではない、ということです。自社サービスの優れた部分について強調したい気持ちは分かりますが、「顧客にとって有益なコンテンツを作る」といった視点が重要になります。とはいえ、自社サービスについて知っていて、もう少しで購入に至るという顧客は例外です。ターゲットとなるオーディエンスがカスタマージャーニーマップのどの位置にいるかを検討したうえで、どんなコンテンツを作ればよいか考えましょう。

クマベイスでは、ファイナンシャルプランナーなどの専門家執筆の金融コンテンツの制作も行っております。コンテンツの構成作成の段階で専門家がチェックするため、質の高いコンテンツを提供できます。専門家の書いた記事を、元新聞記者のデスクが添削するため、より読みやすい記事に仕上がります。金融コンテンツ作成をお考えの方は、ぜひご検討ください。