コンテンツマーケティングという言葉が日本でも浸透し、インターネット上にはコンテンツがあふれています。こうした状況下で、コンテンツをペルソナにきちんと読んでもらい、かつカスタマージャーニーの流れでコンバージョンに至るためには工夫が必要です。

クマベイス社のコンテンツ制作の経験をもとに、5つのヒントをそれぞれ解説していきます。

1.執筆、制作をプロフェッショナルに依頼する
2.編集ワークフローをきちんと確立する
3.バズワードを使いたい気持ちを抑える
4.3つのEをコンテンツ戦略の中心に据える
5.魅力的な画像、デザインを活用する

せっかくコストと時間をかけて制作するコンテンツですから、公開後に他のコンテンツに埋もれて見てもらえないのは非常にもったいないことです。少しでもペルソナのもとに届きやすく、コンテンツに触れたペルソナの多くがコンバージョンへ歩み始めるために、これらの工夫が求められます。

「数を打てば当たる」と考えて、安易にキーワードからSEOコンテンツを量産したり、費用を全て広告につぎ込んだりしてしまうのではいけません。受け手のことを考え抜いた先に、コンバージョンがあるのです。

執筆、制作はプロフェッショナルに依頼する

コンテンツ制作では、執筆・デザイン・コーディングなど様々技術や専門知識を必要とします。例えば記事コンテンツを制作する際、ライターでない人が文章をつくることもできます。ただ、「正しく伝わる文章」をきちんと書くためには相応の経験が不可欠。場合によっては、ライターを採用することも検討しましょう。もし、社内でライターを採用できないのであれば、社員が執筆するか、外部に依頼することになるでしょう。

質の高いコンテンツの判断基準はこちらの記事で解説しています。

「高品質なコンテンツ」の判断基準

 

気をつけなければならないのが、ライターは執筆のプロであっても、発信しようとしているコンテンツの内容についてはプロでない可能性がある点。

例えば、医療についてのコンテンツを制作したいとしても、ライターに医学の知識があるとは限りません。そのような場合、ライターが情報を一生懸命集めて勉強しても、専門知識のある読者からすれば違和感のあるコンテンツに仕上がってしまうことがあります。

対策としては、ライターが専門家を取材してコンテンツを制作する手法があります。専門家の話をもとにするため、内容の間違いをなくすことができます。

こういった専門的なコンテンツを作りたい場合、「ライターが専門知識勉強、もしくは専門家に取材して執筆」「専門家がライティングを勉強して執筆」の2つの選択肢がありますが、個人的には前者を推します。

編集ワークフローの確立


コンテンツマーケティング成功のためには、効率的な編集プロセスが欠かせません。コンテンツ制作には多くの工程がありますが、高品質なコンテンツを制作するためにはどの構成も手間を惜しまず取り組むべきです。

どういった作業があり、それぞれ誰が担当し責任を持つのか。これを明確にするためにも、編集ワークフローはきちんと固める必要があります。もちろん、執筆など専門家に外注する場合も同じです。

編集ワークフローが確立していると、まず存在する制作ステップのうち、現在どのステップを進んでいるのかがきちんと把握できている状態となります。結果、スケジュール通りに制作を進めやすくなります。

作業に当たる担当者も、工程ごとの責任の所在がはっきりしていなければ、作業完了の判断ができません。責任者が確認してOKになったら次に進む、という流れが理想です。工程の中での現在地を把握することにもつながります。

コンテンツをより企画に沿ったものにするためにも、編集ワークフローで役割を確認することが重要です。次の工程に進めてよいかどうかの判断や、スケジュールだけでなく、そのコンテンツの持つ当初の目的をきちんと達成できるのかを正しく判断するためにも、制作工程ごとに責任者を立てるべきです。

作業に当たる担当者でも良いですが、違う人が責任者としてチェックする方法もあります。作業に当たっている本人は、目の前の課題に没頭してしまい、カスタマージャーニーマップから意識が離れてしまっているかもしれません。コンテンツの目的やペルソナの行動を改めて意識し、そのコンテンツの目的を達成するためにも、責任者が最終確認してから次の工程に進むやり方がおすすめです。

バズワードを使いたい気持ちを抑える

コンテンツ制作で文章を執筆する際、いわゆる「バズワード」をタイトルや見出しに入れたり、本文中で多用したりすると、コンテンツの質が下がってしまいます。

そもそもバズワードは、本来の意味とは厳密には違う用途で使われていたり、あいまいな意味を持ったまま広まってしまったりと、「正しい日本語」として使用されないケースが多いようです。コンテンツ制作において正しく(ペルソナなら)誰にでも伝わる言葉を使用するべきであって、あいまいな言葉を選ぶことは避けたほうが良いでしょう。

タイトルや見出しにバズワードが入っている方が、もしかしたらページビュー数が稼げるかもしれません。しかし制作すべきは誰彼構わず読まれる(開かれるだけ)のコンテンツではなく、きちんと定めたペルソナとそのペルソナがゴールに向かうのに貢献するコンテンツです。

目立つコンテンツを作ることも大切かもしれませんが、ぜひ目的を違えずに制作に取り組んでください。

3つのEをコンテンツ戦略の中心に据える

制作するコンテンツに取り入れるべき3つのEがあります。

Educational:教育(的)
Entertaining:娯楽(的)
Emotional:感情(的)

企業がコンテンツを作る際、流入を増やしたりコンバージョンを促したりしたいと考えます。結果、リンクを挿入したりコマーシャル文章を入れたりすることに力を入れてしまいがちですが、コンテンツとは本来ペルソナとの関係構築をゆっくりと目指すものです。コンテンツ1本だけで強引に刈り取ることなどできません。

何かしらの目的を持ったペルソナがコンテンツを置いたページを訪問してくれたとします。ここでペルソナに「ためになった」と思ってもらう必要があります。「ためになった」とは、知識が身に付いた/考えさせられた(教育的)、楽しかった(娯楽的)、嬉しくなった(感情的)などが該当します。これらの要素が1つも含まれていないコンテンツでは、カスタマージャーニーマップの次のステップに進むことができません。

ただでさえ情報であふれている中、貴社のコンテンツを選んで消費してもらうためには、こちらの言いたいことを投げ続けるだけでなく、最低限ペルソナにとって有益な内容でなければなりません。上記3つのEが含まれているかどうか、いまいちど制作したコンテンツをチェックしてみてください。

魅力的な画像、デザインを活用する

コンテンツに効果的な写真や画像を挿入したり、コンテンツ全体のデザインを工夫したりすることで、コンテンツをより魅力的に見せることができます。

多くの記事コンテンツにおいて、テーマやキーワードに合う写真素材が挿入されています。しかし、その多くが有料素材サイトなど一般に提供されている写真であり、オリジナル性はありません。対象のキーワードで検索してコンテンツに合うものを選び挿入しているのでしょう。

コンテンツの研究をするなかで、多くの記事コンテンツを読んできましたが、「この写真、どこかで見たことあるな」と感じるものが多くありました。「文字だらけでは読みづらいだろう」と、読み進めるのを助ける意味で写真や画像を挿入していることは理解できます。しかし、それだけでは足りません。オリジナルの画像や表を採用することで、ペルソナのエンゲージメントを高めることにつながるのです。

もちろんオリジナルで写真を撮ったりデザインを入れたりするには費用がかかります。しかし、あまり効果のないコンテンツを低価格で量産しても無意味です。細部に費用をかけこだわった、少量のリッチなコンテンツで効率よくエンゲージメントを高める方が、長い目で見た時に企業のメリットにつながるのです。

まとめ

これまでコンバージョン率の高いコンテンツをつくるための5つのヒントを紹介してきました。

1.執筆、制作はプロフェッショナルに依頼する
2.編集ワークフローの確立
3.バズワードを使いたい気持ちを抑える
4.3つのEをコンテンツ戦略の中心に据える
5.魅力的な画像、デザインを活用する

こうして5つのヒントを見てみると、ますますコンテンツ制作は片手間ではできないことがわかります。コンテンツ制作にはミッションやゴールの確認からペルソナカスタマージャーニーマップの作成、マーケティング戦略から1つのコンテンツに落とし込んで公開するまでのコンテンツ戦略まで、さまざま工程があります。このうち、どれ一つとして飛ばすことはできません(高品質・高コンバージョン率には手間と戦略が必要)。

せっかく時間と手間をかけて制作したコンテンツですから、より結果につながるものを目指したいものです。一つひとつの手間を惜しみ中途半端なコンテンツを量産して満足するのではなく、高品質高コンバージョン率の珠玉のコンテンツの制作を目指してください。