本ブログでは、これまでインサイドセールスの特徴や活躍についてご説明してきました。いよいよインサイドセールスチームを立ち上げようとした場合、社内のどこでどのように活躍させればいいのでしょうか。企業によってインサイドセールスに持たせる役割が異なりますが、今回はインサイドセールスチームの設置場所と、求められる役割について解説します。

所属部署

インサイドセールスチームは、マーケティング部や営業部に配置されることが一般的です。どこに設置するかは、インサイドセールスに求める役割によって検討するとよいでしょう。

◆マーケティング部の場合

インサイドセールスは従来の営業と比べ、よりマーケティングを使った動きが必要となります。したがって、マーケティング部のセールスチームとして設置されている場合もあります。

マーケティング部ではセミナー集客の企画やホームページの最適化、コンテンツ発信をもとに営業をかける先であるリードを集めることができます。そのリードに対して確度の高さを見極め、時にはクロージングまでを担当するのがインサイドセールスです。マーケティング施策からクロージングまでの一連の流れに携わっているということは、営業する上でも、マーケティング施策のアップデートを行う上でも重要な視点となります。

セミナー企画やコンテンツ発信はマーケティングの専門担当が行うとしても、遠くに座っている営業部のメンバーからフィードバックや要望があがってくることはそう多くないと思います。マーケティング部門の一部に営業(インサイドセールスメンバー)を配置することでマーケティング視点での営業活動がしやすくなり、逆に営業視点でマーケティング施策にフィードバックすることが可能です。

後述する営業部に配置する場合よりも多くPDCAをまわすことになるため、少しスピード感に劣るイメージではありますが、うまく「はまる」マーケティング施策を行うことが可能であり、この施策を展開することにより巻き返しを図れます。

◆営業部の場合

フィールドセールスとインサイドセールスを合わせて営業部となっているパターンは、インサイドセールスを取り入れる多くの企業がとっている営業体制かと思います。新規獲得目的の営業の場合、マーケティング部から降りてきたリードにインサイドセールスが架電していき、アポが取れたらフィールドセールスにパスするという方法が多いように思います。

営業部隊を一か所に固めておくことで、スムーズに案件共有することができ、契約獲得に集中した営業活動を行うことができるメリットがあります。反面、新しいマーケティング施策に営業視点の意見が取り入れられにくいこともあります。しかし、現時点での日本起業におけるマーケティングと営業は切り分けて考えられている傾向にあり、シームレスに意見を出し合うことで相乗効果が大きいのにな…ともどかしい気持ちです。

インサイドセールスとフィールドセールスの役割

ここでは前項「所属部署」についてマーケティング部・営業部関わらず、インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担について解説いたします。

◆インサイドセールスとフィールドのハイブリッドの体制とする場合

ある程度規模が大きく確度の高いリードは、一律フィールドセールスが担当してクロージングという方法が多いように思います。しかし、フィールドセールスは規模の大きい既存顧客の運用フェーズも担当しているケースが多く、新しいリードを渡してもしっかり対応できない場合があります。そこでインサイドセールスがファーストコンタクトからヒアリングを行い、提案に必要な情報をゲット、提案活動までを対応し、フィールドセールスが最後の一押し=クロージングする方法があります。これはフィールドセールスが提案や提案のための準備を行う必要がなく、確度が高く必ず取りたいリードに力をいれることができます。

<ハイブリット体制でのそれぞれの役割>
インサイドセールス:リードラベリング~初回ヒアリング(提案に必要な情報取得)
フィールドセールス:本提案~クロージング 場合によってはクロス・アップセルのきっかけづくり

インサイドセールスの効果をあまり理解せず導入する企業で、規模の大きいリードを問答無用でインサイドセールスには触らせないというパターンをよく耳にしますが、これは感心しません。

クライアントの役員会など現地での最終提案が必須という場合などに限り、インサイドセールスにはクロージングが難しいと想像できますが、初回ヒアリングや提案準備までのクロージングに向けた準備はインサイドセールスと分担することが可能です。フィールドセールスはより確度の高いリードへの対応に集中することで、全体として利益になると考えるからです。情報取集から提案準備までのすべての工程で訪問したにもかかわらず、実はそこまで確度が高くなかった、となれば単純に工数の無駄です。

関わる人数が多くなることで工数がかさむ、と考えるのではなく適材適所にパワーを配分することでより効率的にコンバージョンを生むことが重要です。

◆インサイドセールスのみの体制の場合

規模も小さめ、確度の低いリードに対してはフィールドセールスの出る幕がないまま、クロージングまでをインサイドセールスで完結させるのが理想です。リード発生からクロージングまでの営業工程(成功事例)をしっかりとマニュアル化しておき、マーケティング施策により質の高いリードを量産できた際に無理なく対応できるスキームを確立させておきましょう。

また、商材により大がかりな提案を必要とする場合は、インサイドセールス内にもエンタープライズのチームを作ることで対応するのがよいでしょう。新型コロナ拡大の現在はフィールドセールスを全面自粛という企業も多いのではないでしょうか。客先に行けないから失注という状況にならないためにも、インサイドセールスで大型提案できる準備が必要です。

 

<関連書籍>
野口優帆『40分でインサイドセールスの考え方がわかる本』
野口優帆『続・40分でインサイドセールスの考え方がわかる本【実務編】』
野口優帆『新・40分でインサイドセールスの考え方がわかる本【withコロナ編】』

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SalesZine「ひとりではじめるインサイドセールス」(外部リンク)