コンテンツマーケティングの柱となるオウンドメディアを運営する上で、避けては通れないのが、記事コンテンツを社内で制作するか、それとも外注するかという問題です。どちらが正解というものではなく、予算や運営体制などを鑑みて選択していくこととなります。本稿では、記事の内製と外注、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

記事コンテンツ内製のメリットはコンテンツマーケティング戦略の円滑なオペレーション


オウンドメディアの運用には、取材や原稿執筆、編集、公開作業、SNS投稿といった作業をスケジュールに落とし込むことが不可欠です。円滑に運用していくためには、責任者(チーフコンテンツオフィサー=CCO)や編集者、ライター、デザイナーまで、全ての関係者がスケジュール感を持つことが重要となります。

こうした点を考慮した時、社内で記事コンテンツを制作すれば、関係者が社内にいるため、意思疎通や細かいやりとりに時間がかかりません。結果、オペレーションを円滑に進めることができます。それにより、ブランドボイスとかけ離れたコンテンツとならないなど、コンテンツマーケティング視点で言うクオリティの向上が期待できます。

記事コンテンツ外注のメリットは記事を安定かつ大量に制作可能な点


オウンドメディアの効果的な運用には定期的なコンテンツ配信が必要です。安定した更新頻度は、リピーターの訪問数を向上させるためにも極めて重要となります。

可能であれば毎日更新していきたところですが、それには人員と時間が必要です。そんな時、編集プロダクションやフリーライターにコンテンツ制作を外注することで、安定したコンテンツ制作、配信につながります。

また、専門性の高い記事を専門家やプロのライターに依頼することで、コンテンツのクオリティーが高まることが期待できます。

記事コンテンツ内製のデメリットは社内体制整備のハードルが高い点

社内で記事を制作する場合、場合によってはライティング経験がない社員を教育するところから始めなくてはなりません。そのため、社内にしっかりと指導できる編集経験者が必要となります。とはいえ、編集経験者がいるケースは稀でしょうから、その場合は新たに経験者を採用しなくてはなりません。

また、中小企業では専門部署に専属の人員を割くことが難しく、マーケティングや広報を、1人の担当者が兼任しているケースも少なくありません。通常業務にライティング業務が加わることで、時間的、精神的な負担となることもあります。

記事コンテンツ外注のデメリットはクオリティの担保が難しい点

記事コンテンツを外注する場合、単価はライターによって異なります。クラウドサービスなどを利用してライターを募集した場合、1文字1円以下の安い単価で依頼することができますが、クオリティはまさに「ピンキリ」。リライトが必要な場合も多く、納品原稿をそのまま投稿できると決めつけることは、避けた方が無難でしょう。

そのリスクを避けようと、編集プロダクションや経験豊富なライターに依頼すると、コストは膨れ上がります。また、媒体の特長や記事の目的などを正確に伝えなければ、意図した内容と違う記事が納品されてしまうため、トラブルになることもありえます。

内製と外注を組み合わせた運用も視野に

記事を内製すると、オウンドメディアの方向性を保ちやすく、円滑な運営にも繋がりますが、専属のチームを組織する必要があります。中小企業では人を割くことが難しいケースも多く、大企業であっても編集経験者を登用する必要があり、少々ハードルが高いのも事実です。

反面、外注すると社内の負担は減りますが、予算が少ないと記事のクオリティに不安が残り、他方、クオリティを向上させるにはコストがかかります。

折衷策として、内製と外注を使い分けるやり方もあります。基本的には内製で記事コンテンツを制作し、数をこなす場合やプロに依頼すべきコンテンツの場合は外注するというものです。また、編集者を抱えるコンテンツマーケティングの代理店の中には、コンサルティングと内製コンテンツの添削作業をセットで請け負っているところも見られます。

ただし、すべてのケースで言えることですが、コンテンツマーケティング が外部に丸投げすると、必ず失敗します。運用の責任は自社にあることをしっかりと理解した上で、必要に応じて記事制作などを外注する、という姿勢は忘れてはいけません。

自社の人員やオウンドメディアの運用計画に沿って、記事コンテンツ制作体制を整えていきましょう。